2018 Fiscal Year Research-status Report
細胞内発熱と機械刺激による相乗的なイオンチャネル活性化
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18K19418
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
柴崎 貢志 群馬大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (20399554)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | TRPV2 / 温度 / メカノセンサー / 神経 / 発生 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究実施者が見いだした研究背景事情を踏まえ、神経回路形成期の細胞内に39℃のホットスポットが点在し、この熱+膜伸展(成長円錐運動により生じる)の相乗作用によりTRPV2が活性化し、神経回路形成を促進させている可能性が高いと考えるに至った。本研究では、この可能性を検証し、生体内のTRPV2活性化がどのように起るのかを解き明かす。 研究実施者は既に39℃以上の熱によってTRPV2メカノセンサー感受性の増大が起ることを電気生理学的解析で見いだしていた。また、分担研究者の岡部が開発した蛍光温度プローブを用いて、再生中の軸索内部に他領域よりも2℃高いホットスポット(=39℃)が局在することを見いだしていた。そこで、本年度は、この39℃というホットスポット温度がTRPV2を活性化し、発生期の軸索伸長を促すのかを検証した。研究実施者が作製した感覚/運動神経特異的なTRPV2欠損マウス(TRPV2CKOマウス)を用いた。WTとTRPV2CKOマウスの胎仔(妊娠12日目)から培養DRG神経を調製し、これを37℃(生理学的温度)と39℃(ホットスポット温度)で培養した。そして、培養2日目に、その軸索長を定量比較した。その結果、生理的温度である37℃培養時にはWT群とTRPV2CKO群の間に軸索長の有意な差は生じなかった。一方、培養温度を39℃にし、軸索全体をホットスポット環境以上の高温暴露した場合には、WTと比較し、TRPV2CKO群では軸索長が有意に短くなった。つまり、TRPV2CKOマウス由来の培養神経と比較することで、再生中の軸索内部ホットスポット(39℃)がTRPV2を活性化し、軸索再生に有用な生体シグナルとなっていることを検証出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に立案した内容を全て行うことが出来たため。
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Strategy for Future Research Activity |
IRレーザー照射装置を用いて軸索の一部だけを加熱し、TRPV2活性化依存的に軸索再生が促進するのかも調べる。同様に、ニワトリ胚を用いたタイムラプスイメージングを行い、IRレーザー加熱により生体内においても軸索伸長が加速するのかを検証する。このニワトリ胚実験では、TRPV2の過剰発現、TRPV2の機能阻害(J. Neurosci. 2010にて使用済み)プラスミドの導入を組み合わせ、局所加熱により、TRPV2の機械刺激感受性が亢進し活性化することが軸索伸長に結びつくことをin vivoで証明する。
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Causes of Carryover |
実験に使用する遺伝子改変マウスの妊娠・出産度合いが想定していたのよりも少なかったために、想定実験数を行えなかったため次年度使用額が生じた。平成31年度は、平成30年度分の実験数も行い、必要な実験試薬などに適切に予算を使用する。
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Research Products
(13 results)