2018 Fiscal Year Research-status Report
細胞内におけるFoF1-ATP合成酵素1分子の回転計測技術の開発
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18K19420
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
榎 佐和子 (苙口佐和子) 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (50467635)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 分子モーター |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞内におけるATP合成酵素の回転を直接計測するための基盤技術の開発のため、プローブの3次元配向と位置を高時空間分解能で検出するイメージングシステムの開発を行った。細胞内においては、酵素は細胞膜中を3次元に移動、拡散するため、これまでのサンプル平面に固定した酵素の計測システムでは、細胞内のFoF1-ATP合成酵素の回転計測に適用できなかった。そこで、これまでのプローブの3次元配向に加え、3次元位置(x,y,z)を正確に計測する手法の開発に取り組んだ。測定系として高速配向検出暗視野顕微鏡を組み、解析方法を発展させた新規のイメージングシステムの評価を行った。水溶液中を拡散する金ナノ粒子1粒子の散乱光を10 μsの時間分解能で撮影し、散乱像を理論的に計算された画像にフィッティングすることにより、その配向と位置の解析を行った。その結果、金ナノ粒子の拡散は、位置、回転、共に、理論的に予想される拡散定数を持つ自由拡散の式に従うことが明らかになった。このことは、ナノメートルの精度、マイクロ秒の分解能で、金ナノ粒子の位置と配向を3次元で追跡可能であることを示している。しかし、拡散粒子の散乱像はカメラの検出範囲を数10 msで外れてしまうため、次により長時間の計測を目的として、試料の3次元位置をリアルタイムに追跡して試料位置のフィードバックをする手法の開発に取り組んだ。ミリ秒のオーダーでステージ位置をフィードバックする必要があるが、高速にプローブの3次元位置を検出して位置情報に変換する手法、高速で駆動できる軽量ピエゾステージの作成、及び、このシステムの検証は順調に進んでおり、長時間粒子の配向と位置を3次元で検出する目途が立った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の計画通り、プローブの位置と配向を3次元で高時空間分解能で検出するシステムの開発は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
プローブの位置配向検出システムの完成後は、試験管内、及び、細胞内において、プローブを結合させた酵素の回転と位置の同時計測に取り組んでいく。
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Causes of Carryover |
30年度は高速カメラをデモにより選定をしていたが、予定通りにデモ機が揃わなかった。高速カメラの選定が完了次第、31年度に購入予定である。
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