2018 Fiscal Year Research-status Report
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18K19426
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤本 明洋 京都大学, 医学研究科, 特定准教授 (30525853)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | 集団史 / マイクロサテライト |
Outline of Annual Research Achievements |
人類の集団史の推定は、人類学的な重要性だけでなく、疾患関連遺伝子の探索の背景知識としても重要な課題である。近年のゲノム解析技術の進展により、DNA多型解析アレイや全ゲノムシークエンスを用いて大量のSNP情報を得ることができる。この情報を用いて、人類の集団史を推定することができる。例えば、集団間の遺伝的関係性の推定や、過去の集団の大きさの変遷が推定されている。 しかし、SNP情報を用いた研究では、極めて近い集団の関係性(例えば、本州の中の地域間の関係)や最近(10000年以降)の集団サイズの変遷は、正確に推定することが難しい。この理由の一つは、マーカーとしてSNPを用いているためであると考えられる。SNPの突然変異率低く、1.2 x 10-8/世代程度であると推定されている。そのため、安定性が高いものの、最近の集団間の遺伝的変化を捉えるマーカーとしての能力は限られていると考えられる。 本研究では、SNPに代わり、突然変異率が高いマイクロサテライトを用いることで、SNPを用いた研究の限界を打破し、近縁な集団間の遺伝的関係性や最近の集団史の情報を得ることを目的とする。 申請者が開発したマイクロサテライト解析法を用いて、日本人集団、韓国人集団、世界各地から収集された集団サンプル(Simon’s Genome Diversity Project)の全ゲノムシークエンスデータを解析した。全てのサンプルのマイクロサテライト解析が終了したため、2019年度にデータを用いて集団構造の解析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全ゲノムシークエンスデータの解析は順調に終了した。また、先行研究と一致するパターンが観測されており、解析結果は妥当であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、集団史の推定へと進むが、マイクサテライト座位には、エラーが起こりやすい領域があることが想定される。そのような座位を、Hardy-Weinberg平衡からのずれなども考慮しつつ除くことが必要になる可能性があり、試行錯誤が必要になると考えられる。精度の高いデータセットを構築し、集団間の違いや集団史の推定などを行う予定である。
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Causes of Carryover |
計算機を用いた解析が主であり、実験を行うことがなかったため、使用額が少なかった。なお2019年度には実験を行う予定である。
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