2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K19426
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤本 明洋 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 教授 (30525853)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2022-03-31
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Keywords | マイクロサテライト / 集団の歴史 |
Outline of Annual Research Achievements |
人類の集団史の推定は、人類学的に興味深いだけでなく、疾患関連遺伝子の探索の背景知識としても重要な課題である。近年のゲノム解析技術の進展により、DNA多型解析アレイや全ゲノムシークエンスを用いて大量のSNP(一塩基多型)情報を得ることができる。この情報を用いて、集団間の遺伝的関係性の推定や、過去の集団の大きさの変遷が推定されてきた。しかし、SNPを用いた研究では、極めて近い集団の関係性(例えば、本州の中の地域間の関係)や最近(10000年以降)の集団サイズの変遷を正確に推定することが難しい。この理由は、突然変異率が低いSNPを用いているためであると考えられる(1.2 x 10-8/世代)。本研究では、SNPに代わり、突然変異率が高いマイクロサテライトを用いることで、近縁な集団間の遺伝的関係性や最近の集団史の情報を得ることを目的とした。 藤本が作成した手法(Fujimoto et al. Genome Research (2020))を用いて、900万個以上のマイクロサテライトを対象に多型的なマイクロサテライトを解析した。韓国人データ(KPGP)、世界各地の集団のデータ(SGDP)のデータを解析した。KPGPおよびSGDPのデータから、約28万と42万個の多型的な(MAF >= 3%)マイクロサテライトが発見された。また、長いマイクロサテライトほど多型性が高いこと、コード領域には繰り返し単位が3の倍数のマイクロサテライトが多いこと、AT含有量が高いマイクロサテライトほど多型性が高いことなどが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
人類の集団史の推定は、人類学的に興味深いだけでなく、疾患関連遺伝子の探索の背景知識としても重要な課題である。近年のゲノム解析技術の進展により、DNA多型解析アレイや全ゲノムシークエンスを用いて大量のSNP(一塩基多型)情報を得ることができる。この情報を用いて、集団間の遺伝的関係性の推定や、過去の集団の大きさの変遷が推定されてきた。しかし、SNPを用いた研究では、極めて近い集団の関係性(例えば、本州の中の地域間の関係)や最近(10000年以降)の集団サイズの変遷を正確に推定することが難しい。この理由は、突然変異率が低いSNPを用いているためであると考えられる(1.2 x 10-8/世代)。本研究では、SNPに代わり、突然変異率が高いマイクロサテライトを用いることで、近縁な集団間の遺伝的関係性や最近の集団史の情報を得ることを目的とした。 藤本が作成した手法(Fujimoto et al. Genome Research (2020))を用いて、900万個以上のマイクロサテライトを対象に多型的なマイクロサテライトを解析した。韓国人データ(KPGP)、世界各地の集団のデータ(SGDP)のデータを解析した。KPGPおよびSGDPのデータから、約28万と42万個の多型的な(MAF>= 3%)マイクロサテライトが発見された。また、長いマイクロサテライトほど多型性が高いこと、コード領域には繰り返し単位が3の倍数のマイクロサテライトが多いこと、AT含有量が高いマイクロサテライトほど多型性が高いことなどが明らかになった。 マイクロサテライトを用いてSGDPのデータに対して主成分分析(PCA)を行った。先行研究(SGDP Nature (2016))のPCAと比べ、本研究の方が、SNPとの類似性が高く、今回のマイクロサテライト解析が先行研究よりも精度が高いことが示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
SGDPのデータの解析では、マイクロサテライトはSNPと同程度の解像度を示した。しかし、SGDPは1集団数人のサンプルを解析しているに過ぎず、我々が期待する近縁な集団の区別の研究には、不適であると考えられた。 そこで、HGDP計画(1集団数十人計800人のデータ)とICGC(複数の国から計3000人のデータ)の解析を開始した。これらのサンプルは規模が大きいため、解析に時間がかかっているが、近縁集団を含み、マイクロサテライトの有用性を判定するために重要であると考えられる。 さらに、レアなアレルに注目した解析も行なっている。マイクロサテライトの検出はSNPと比べ困難であると考え得られるが、アルゴリズムの工夫により、レアアレルへの対応も可能であると考えている。 今年度は、上記解析を行うとともに、論文として成果をまとめたいと考えている。
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Causes of Carryover |
マイクロサテライト解析のため細胞株の培養を行なっていたものの、生育が悪く、必要なデータが得られなかった。また、レアなマイクロサテライトの多様性解析のアルゴリズム開発に困難があった。 上記問題があったものの、計画は概ね順調であると考えられる。
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