2018 Fiscal Year Research-status Report
単一細胞超高解像度解析を可能にするゲノム3次元構造解析技術の開発
Project/Area Number |
18K19432
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
原田 哲仁 九州大学, 生体防御医学研究所, 助教 (60596823)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | ChIL / 単一細胞解析 / 3D genome |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、骨格筋分化における遺伝子の空間的配置は「増殖段階における遺伝子発現抑制」と「分化過程における転写誘導」の2役を担う遺伝子発現制御機構として必須であることを報告している(Harada et al, NAR, 2015)。また、近年、癌形成過程で遺伝子の空間配置が変化することが明らかとなり、組織レベルでの一細胞内遺伝子空間配置情報の解明が喫緊の課題となっているが、heterogeneityを持つ細胞群では1細胞ごとのデータを取得し解析することが必要であるが現段階で実用レベルの技術が存在していない。本研究では、精度の高い空間配置情報を安定的に得るために、ハイスループットな1細胞空間配置解析手法である3D-ChILTの開発を行っている。 本年度は、本研究の3D-ChILTの開発において根幹となるゲノムDNAへのTn5トランスポゼースを用いた標識法について検討および論文化(Harada et al, NCB, 2019)を行った。3D-ChILT法の原型のChIL法を用いたシークエンス技術ChIL-Seqの開発では、100,000細胞から単一細胞までのエピゲノムシークエンス解析が可能なプロトコルを開発し発表した(Harada et al, NCB, 2019)。特に単一細胞解析用にTn5トランスポゼースの反応量を適正化したことで、3D-ChILTにそのプロトコル直接用いることができ、3D-ChILTのプロトコルにおける、Tn5トランスポゼースを用いた細胞識別配列の挿入による各DNAドメインの分離法の確立が期待できる。また、各DNAドメインの標識化において、combinatorial indexing法を採用し、次世代シークエンスを用いたシークエンスプロトコルを確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究開発では、(1)核内染色体配置 (DNAドメイン)を固定化した細胞群の単一細胞への分離、(2)Tn5トランスポゼースを用いた細胞識別配列の挿入による各DNAドメインの分離、(3)各DNAドメインの標識化、(4)分離DNAの線形増幅、(5)次世代シークエンス解析用ライブラリー化、(6)データ解析の6つのカテゴリにプロトコルを分割し開発を行っている。そのうち、(2)Tn5トランスポゼースを用いた細胞識別配列の挿入による各DNAドメインの分離および(4)分離DNAの線形増幅については、本研究の根幹技術であるChIL法を論文発表したことで、プロトコル確立への一定の目途が立った。また、(3)各DNAドメインの標識化についても、combinatorial indexing法の採用により目途が立ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究開発プランのうち、(2)Tn5トランスポゼースを用いた細胞識別配列の挿入による各DNAドメインの分離、(3)各DNAドメインの標識化、(4)分離DNAの線形増幅についてのプロトコルが固まったため、(1)核内染色体配置 (DNAドメイン)を固定化した細胞群の単一細胞への分離、(5)次世代シークエンス解析用ライブラリー化、(6)データ解析の開発を進める。現在、Dropletベースでの開発を前提にしているが、well plateを用いた方法でも本技術開発は可能であると考えており、早期に開発可能なプラットフォームで本技術の開発を行う。
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