2018 Fiscal Year Research-status Report
T細胞の抗原認識様式のパラダイムシフト樹立を目指した研究およびその展開
Project/Area Number |
18K19441
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
岸 裕幸 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 教授 (60186210)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | T細胞受容体 / MHC/ペプチド複合体 / cis相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
T細胞はT細胞受容体(TCR)を用いて、標的細胞表面の主要組織適合抗原(MHC)分子に抗原ペプチドが結合した、MHC/ペプチド複合体を認識し活性化される(transの相互作用)。我々は、近年、T細胞上のTCRが同じT細胞上のMHC分子/ペプチド複合体と相互作用してT細胞を活性化する新しい相互作用“cisの相互作用”を見出した。本研究では、TCRとMHC分子/ペプチド複合体との”cisの相互作用“が実際の免疫系で起こりうることを実証し、さらに、”cisの相互作用“を応用した次世代TCR抗原同定法を開発することを目的とした。まず、in vivoでの実験を行うために、T細胞内でdoxycyclineにて自己抗原(OVA)の発現を調節できるシステムを構築した。このベクターを、OVAを認識するOT-I TCRトランスジェニックマウスのTリンパ球に遺伝子導入した。今後、このリンパ球をC57BL/6マウスに移入し、doxycycline投与によりOVAを発現させた時の免疫応答を解析する予定である。また、内在性TCRを発現しないBW T細胞株にOT-I TCRおよびH-2Kb分子を発現させたT細胞株(OT-I_H-2Kb_BW)を作製した。このT細胞株にOVAペプチドをパルスすると、IL-2産生が誘導されることを確認した。この細胞にOVA発現ベクターを遺伝子導入すると、IL-2の産生が誘導される。そこで、インサートを含まない空の発現ベクターに1:105クローンの割合でOVA発現ベクターを混ぜたものを、OT-I_H-2Kb_BW細胞に遺伝子導入し、IL-2の発現を指標にOVA遺伝子導入細胞が濃縮されるかを検証した。その結果、OVA遺伝子の濃縮が観察された。現在、抗原未同定のTCRを用いて、その抗原が同定できるかを検証しようと準備している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
T細胞にて、自己抗原が発現した際、そのT細胞上のMHC分子に抗原ペプチドが提示され、同じ細胞上のTCRが”cisの相互作用”をすることにより、反応すると考えられる。本研究では、TCRとMHC分子/ペプチド複合体との”cisの相互作用“が実際の免疫系で起こりうるかを実証するために、OVAを認識するOT-I TCR T細胞内でdoxycyclineにて自己抗原(OVA)の発現を調節できるシステムをレトロウイルスベクター系を用いて構築した。この発現ベクターはOVAと同時にGFPを発現できるようになっている。このベクターを用いてレトロウイルスを作製し、OVAを認識するOT-I TCRトランスジェニックマウスのTリンパ球に感染させ、遺伝子導入した。今後、このリンパ球をC57BL/6マウスに移入し、doxycycline投与によりOVAを発現させた時の免疫応答を解析する予定である。また、TCRとMHC分子/ペプチド複合体との”cisの相互作用“を用いた、抗原同定法を作製するために、内在性TCRを発現しないBW T細胞株にOT-I TCRおよびH-2Kb分子を発現させたT細胞株(OT-I_H-2Kb_BW)を作製した。このT細胞株にOVAペプチドをパルスすると、IL-2産生が誘導されることを確認した。この細胞にOVA発現ベクターを遺伝子導入すると、IL-2の産生が誘導される。そこで、インサートを含まない空の発現ベクターに1:105クローンの割合でOVA発現ベクターを混ぜたものを、OT-I_H-2Kb_BW細胞に遺伝子導入し、IL-2の発現を指標に細胞をソーティングし、OVA遺伝子導入細胞が濃縮されるかを検証した。その結果、OVA遺伝子の濃縮が観察された。現在、抗原未同定のTCRを用いて、その抗原が同定できるかを検証しようと準備している。
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Strategy for Future Research Activity |
TCRとMHC分子/ペプチド複合体との”cisの相互作用“が実際の免疫系で起こりうるかの実証については、doxycyclineにより発現が制御されるOVA遺伝子を導入したOT-I TCRトランスジェニックマウスのTリンパ球をC57BL/6マウスに移入し、doxycycline投与によりOVAを発現させた時の免疫応答を解析する予定である。 また、TCRとMHC分子/ペプチド複合体との”cisの相互作用“を用いた、抗原同定法の作製に向けては、内在性TCRを発現しないBW T細胞株に抗原未同定のTCRを発現させ、標的細胞より作製したcDNAライブラリーを用いて、実際に抗原が同定できるか、検証していく予定である。
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Causes of Carryover |
2018年度はマウス及びマイクロウェルアレイチップを使った実験を行わなかったためにマウス及びマイクロウェルアレイチップを購入しなかった。そのために次年度への繰り越しが生じてしまった。2019年度において、マウスおよびマイクロウェルアレイチップの購入に用いる。
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Research Products
(23 results)
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[Journal Article] A cloning and expression system to probe T-cell receptor specificity and assess functional avidity to neoantigens2018
Author(s)
Hu Z, Anandappa AJ, Sun J, Kim J, Leet DE, Bozym DJ, Chen C, Williams L, Shukla SA, Zhang W, Tabbaa D, Steelman S, Olive O, Livak KJ, Kishi H, Muraguchi A, Guleria I, Stevens J, Lane WJ, Burkhardt UE, Fritsch EF, Neuberg D, Ott PA, Keskin DB, Hacohen N, Wu CJ
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Journal Title
Blood
Volume: 132
Pages: 1911~1921
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Presentation] Clonally expanded populations of cytotoxic T cell in tumor infiltrated lymphocyte and peripheral blood in endometrial cancer.2018
Author(s)
Tsuda K, Kishi H, Nakashima A, Hamana H, Ushijima A, Tsuda S, Shima T, Shitaoka K, Kobayashi E, Ozawa T, Yoshino O, Saito S.
Organizer
17th Biennial Meeting of the International Gynecologic Cancer Society
Int'l Joint Research
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[Presentation] Clonally expanded populations of cytotoxic T cell in tumor infiltrated lymphocyte and peripheral blood in uterine endometrial cancer.2018
Author(s)
Tsuda K, Kishi H, Nakashima A, Hamana H, Tsuda S, Shima T, Shitaoka K, Kobayashi E, Ozawa T, Muraguchi A, Saito S.
Organizer
第47回日本免疫学会学術集会
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