2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of a novel cancer therapy by a conjunctive use of proton beam irradiation and in situ cancer vaccination
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18K19465
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
坪井 康次 筑波大学, 医学医療系, 名誉教授 (90188615)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 敦夫 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究グループ長 (30356480)
梨井 康 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 移植免疫研究室, 室長 (60321890)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | 放射線治療 / 樹状細胞 / 抗PD-1抗体 / iPS細胞 / アブスコパル効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
「はじめに」:本研究では、固形がんに対する陽子線やX線の照射と免疫賦活療法を併用することでがんに対する治療効果と再発予防効果を増強することを目指している。これまで、マウス皮下腫瘍モデルに対して、X線照射後に骨髄由来樹状細胞(BM-DC)または人工多能性幹細胞(iPS細胞)由来の樹状細胞と、抗PD-1抗体(αPD1-ab)投与を併用することで局所腫瘍制御効果と全身的なアブスコパル効果が得られるかどうかを検討してきた。 「方法と材料」:B16 / BL6メラノーマおよびルイス肺癌(LLC)細胞をC57BL / 6マウスの大腿部に皮下移植して原発および転移腫瘍を作製し、原発腫瘍へX線を8Gy照射した後にBM-DCとαPD1-abを投与してその併用効果を検討した。腫瘍の増殖率と生存率を明らかにするとともに、脾臓T細胞の増殖アッセイ、脾臓T細胞からのインターフェロンγ(INF-γ)放出アッセイを行った。次に「iPS-MEF-Ng-20D-17」を用いてiPS-DCを誘導し同様の実験を行なった。 「結果」:X線照射後にBM-DCおよびαPD1-abの投与することで、原発および転移性腫瘍の増殖は有意に阻害され、マウスの生存時間は有意に延長された。また、T細胞の増殖とINF-γ放出も有意に増加されていることが示めされた。また、iPS-DCは骨髄由来のBM-DCに比べて均一性が高く、遊走能が優れ、BM-DCと同等以上の抗原導入能とT-細胞増殖を持つことが確認された。 「結論」: BM-DCまたはiPS-DCおよびαPD1-abの投与によりX線照射された腫瘍が有効なin situワクチンに変換されたことが示され、局所放射線療法と全身的がん免疫療法を融合する新たな治療法の有用性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度では前年度までの実験結果に基づき論文を執筆し採択され発表した(Wang Y, Zenkoh J, Gerelchuluun A, Sun L, Cai S, Li X, Tsuboi K. Administration of Dendritic Cells and Anti-PD-1 Antibody Converts X-ray Irradiated Tumors Into Effective In situ Vaccines. Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2019 Mar 15;103(4):958-969.)。さらにこれらのデータを元にして、放射線生物学分野の新たなトピックとして著書の執筆を行なった(Tsuboi K. Current Topics of Proton Radiobiology, “Proton Beam Radiotherapy -Physics and Biology-” pp.161-170, Edited by Koji Tsuboi et.al., Published from Springer Nature Singapore in Jan. 2020)。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに腫瘍に対するX線照射後にメソポーラスシリカ(HMS)のナノ粒子を局所投与することで有意な腫瘍増殖抑制効果と頭蓋内でのアブスコパル効果が誘導されることが認められている。今後はこの内容をまとめ論文執筆を行う方針である。
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Causes of Carryover |
メソポーラスシリカのナノ粒子を用いた動物実験が終了し成果がまとまりつつある。またiPS細胞から誘導した樹状細胞を 用いた動物実験の成果も出ているが、研究の完成のために引き続き次年度の学会参加と論文執筆投稿のために延長が必 要である。
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