2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of oncolytic herpes simplex virus vectors retargeted to hematological malignancies
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18K19468
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
内田 宏昭 東京大学, 医科学研究所, 特任准教授 (20401250)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田原 秀晃 東京大学, 医科学研究所, 特任教授 (70322071)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | がん |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、新たなバイオ医薬として単純ヘルペスウイルス(HSV)を用いた腫瘍溶解性ウイルス療法が有望視されているが、造血器腫瘍を対象とした試みはきわめて限定的である。その主な原因として、①そもそもHSV受容体を十分に発現していないためHSVの侵入に抵抗性を示す血液腫瘍が多いこと、さらに ②すでに臨床試験が進められている腫瘍溶解性HSVは正常細胞にも侵入してしまうため、ウイルスを全身投与する形の治療が困難であること、が考えられる。これらの問題は、腫瘍細胞だけにしか侵入できないようHSVに標的化改変を施すことにより克服されうる。申請者らはHSVのエンベロープ糖タンパク質gDにがん標的化単鎖抗体を組み込むことにより、標的細胞のみに侵入可能な標的化HSVの構築に成功した。さらにごく最近、本標的化HSV系への適用に好適な抗原・抗体セットを系統的に探索するためのプローブの作製に成功した。本研究ではこれら独自の基盤技術を駆使して上記の問題を克服し、造血器腫瘍の特異的表面抗原を介してのみ侵入可能な標的化HSVの作製に挑む。成功すれば、高い治療効果と安全性を両立した革新的バイオ医薬として実用化されうる。当該年度までに、ヒト造血器腫瘍細胞株12種類におけるHSV受容体(herpesvirus entry mediatorおよびnectin-1)の発現をフローサイトメトリー解析にて検討するとともに、これらの細胞株におけるHSV感染に対する感受性を検討した。その結果、野生型gDを有するHSV亜株を用いた感染実験においては、これらのヒト造血器腫瘍細胞株のうち約半数はHSV感染に感受性を示したが、残り約半数は抵抗性を示した。これらの細胞株について、HSV受容体の発現レベルとHSV感染に対する感受性との間には明らかな相関は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト造血器腫瘍細胞株12種類におけるHSV受容体の発現ならびにHSV感染に対する感受性の検討を行うことにより、造血器腫瘍細胞における腫瘍溶解性HSVに対する抵抗性の把握に至ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト造血器腫瘍細胞株における申請者らが開発した標的化改変HSVの感染特性を検討する。すなわち、これら細胞株における腫瘍関連抗原の発現を解析した上で、当該抗原に対する単鎖抗体を組み込んだ標的化改変gDを有するHSV亜株の感染特性を評価する。
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Research Products
(1 results)