2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K19470
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山梨 裕司 東京大学, 医科学研究所, 教授 (40202387)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 腫瘍 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年の研究から、悪性腫瘍の病態・予後に、がん細胞自身だけではなく、その微小環境との相互作用が重要な役割を担っていることが分かってきた。例えば、悪性腫瘍において、制御性T細胞や骨髄由来免疫抑制細胞(MDSC: myeloid-derived suppressor cell)による細胞傷害性免疫の回避や、腫瘍随伴マクロファージ(TAM: tumor-associated macrophage)による浸潤の促進などの重要性が解明されている。しかしながら、腫瘍の悪性化における微小環境の役割には未解明の点が多い。そこで、本研究では、腫瘍悪性化の素過程である浸潤に焦点を絞り、腫瘍の浸潤制御における微小環境の役割の解明を目指す。 本研究代表者らはこれまでに腫瘍の悪性化と微小環境に関する研究の基盤となるべき、独自の知見を得ることに成功している。具体的には、今までに報告のない形で腫瘍の浸潤を促進する遺伝子欠損マウスを発見し、その促進効果に造血系細胞が必須であることを明らかにしている。そこで初年度は、当該促進効果に重要な微小環境側の責任細胞の同定に着手した。具体的には、単独・複数の造血細胞種を欠損するマウスの作出と当該マウスにおける腫瘍の悪性化レベル(浸潤レベル)の検討を推進し、腫瘍の浸潤促進に重要なある種のリンパ球を同定するに至った。当然のことながら、既に、当該リンパ球による腫瘍悪性化の分子機構の解析に着手しており、その成果をもって腫瘍の悪性化を促進する新たな微小環境異常の解明を目指している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」にも記載の通り、今年度は、各造血細胞種の欠損マウスを用いた解析から、ある種のリンパ球が腫瘍の悪性化に重要であることを明らかにした。一方で、各造血細胞種のみに遺伝子欠損を導入したマウスにおける腫瘍の解析にはやや遅れが生じているため、上記区分を選択した。
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Strategy for Future Research Activity |
新たに同定したある種のリンパ球による腫瘍悪性化の分子機構の解明へ向け、腫瘍悪性化に関わる遺伝子発現やシグナル伝達の網羅的な解析を着実に進めて行く。また、その他の課題については、当初の計画に沿った研究を速やかに実施して行く。
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