2020 Fiscal Year Annual Research Report
Bioimaging analysis of tumor microenvironmental factors that causes induction of "sprouting origin" of tumor blood vessel
Project/Area Number |
18K19475
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
木戸屋 浩康 大阪大学, 微生物病研究所, 准教授 (00543886)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | 血管新生 / 生体イメージング / 腫瘍微小環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
がん組織の増大には血管を介した酸素や栄養分の供給が必須であることから、腫瘍血管の形成を抑制する血管新生阻害剤の開発が進められてきた。特に、血管新生の中心分子であるVEGFに対しては阻害剤の開発が積極的に進められてきたが、その治療効果はわずかに癌患者の生存期間を延長させるのみであった。本研究はVEGF阻害剤によるがん治療の効果が限定的である理由に迫るため、腫瘍血管新生の誘導に関与する微小環境の解明を目指す。注目したのは、血管新生の起点となる血管の発芽を生じさせる腫瘍微小環境の変動である。2光子励起顕微鏡と血管イメージングマウスを用いた生体イメージ系にて腫瘍血管形成の過程を観察すると、血管の発芽部位は無作為に選出されることを見出した。さらには、発芽後に伸長と退縮を繰り返し、その結果として歪な腫瘍血管が形成されることが明らかになった。このことから、腫瘍血管の発芽はVEGF以外の腫瘍微小環境によっても制御されているのではと考え、以下に示すような解析を進めた。 (1)「発芽起点」を生みだす物理的刺激の検討 腫瘍微小環境の「組織の硬さ」が腫瘍血管の発芽に与える影響の検討のため、コラーゲン線維に注目した解析を進めた。これまでの研究を継続し、血管イメージングマウスの頭蓋内へ各種癌細胞を移植して血管形成過程を多光子励起顕微鏡にて撮影し、コラーゲン線維量の変遷が血管の「発芽起点」と関連する可能性を明らかにした。 (2)細胞状態が「発芽起点」の選択に与える影響 腫瘍細胞や間質細胞が血管発芽に与える影響を検討するため、今年度は腫瘍組織内の線維芽細胞の生体イメージ解析系による解析を進めた。線維芽細胞のイメージングマウス(Pdgfra-EGFPおよびCol1a1-EGFP)を入手し、がん細胞を頭蓋内にすることで移植し生体内イメージング解析が可能となる系を構築した。現在はこの系を用いて解析を進めている。
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