2018 Fiscal Year Research-status Report
Fibroblast-dependent cancer cell invasion
Project/Area Number |
18K19488
|
Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
石井 源一郎 国立研究開発法人国立がん研究センター, 先端医療開発センター, 分野長 (00270869)
|
Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
|
Keywords | がん関連線維芽細胞 / 線維芽細胞依存性浸潤 / がん幹細胞 / がん微小環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、新規に開発したin vitro浸潤モデルを用いることにより、がん細胞周囲の線維芽細胞が形成する細胞外マトリックス(ECM)内トンネルの生物学的特徴が、がん細胞の浸潤に重要である可能性を提唱した。本研究では、線維芽細胞が形成するECM内トンネルに焦点を当て、がん細胞の浸潤を規定するトンネルの生物学的特徴を明らかにし、がん細胞がトンネル内を浸潤する分子機構を解明する。 本年度は、以下の検討を行った。 1)外科切除されたヒト肺がん組織を細切し、がん組織由来の線維芽細胞の分離・培養に成功した。 2)線維芽細胞を用いて、癌細胞A431との共培養浸潤モデルを用いることにより、以下の事象を明らかにした。a)癌細胞単独よりも、線維芽細胞と共培養した方が(線維芽細胞依存性浸潤モデル)、癌細胞のコラーゲンマトリックス内への浸潤数は増加する。b) 線維芽細胞の種類により、癌細胞の浸潤数は変化する。すなわち、癌細胞の浸潤数は、線維芽細胞の性状に依存する。c)A431細胞の幹細胞分画(podoplanin陽性分画)と非幹細胞分画を比較した場合、線維芽細胞(-)の状態ではコラーゲン内への両者の浸潤数には差を認めない。一方、線維芽細胞との共培養浸潤モデル(線維芽細胞依存性浸潤モデル)では、幹細胞分画の方が有意にコラーゲン内への浸潤数が増加した。すなわち、癌細胞の性状もまた、線維芽細胞依存性癌細胞の浸潤に関与する。 3)より安定的な線維芽細胞を用いるために、hTERTおよびCDK4mutantを遺伝子導入し、寿命延長した線維芽細胞を作製した。さらには、上記線維芽細胞を用いて、単細胞由来の線維芽細胞クローン作製に成功した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の基盤、および必要な細胞、技術に関しては、概ね準備が終了した。
|
Strategy for Future Research Activity |
1)A431細胞の幹細胞分画(podoplanin陽性分画)と非幹細胞分画を比較した場合、線維芽細胞(-)の状態ではコラーゲン内への両者の浸潤数には差を認めなかった。一方、線維芽細胞との共培養浸潤モデル(線維芽細胞依存性浸潤モデル)では、podoplanin陽性がん幹細胞分画の方が有意にコラーゲン内への浸潤数が増加した。podoplanin陽性がん幹細胞の、線維芽細胞依存性浸潤能亢進機構について解明する。 2)昨年度までに、線維芽細胞の寿命延長および単細胞培養が可能なことを確認した。本年度は、5000種が含まれたshRNA プラスミドライブラリーを線維芽細胞に遺伝子導入し、96wellに播種する。蛍光ラベルしたがん細胞株を加え、我々が独自に開発したアッセイ 系を用いて浸潤能の評価を行う。トンネル内にがん細胞を認めない線維芽細胞を、マイクロ マニピュレーターを用いて回収し増殖させる。DNAを抽出して標的とされたRNAを同定し機能分子を探る。
|
Causes of Carryover |
計画的に研究を進めましたが、電子入札システムによる物品購入のため残金が68円生じました。
|