2018 Fiscal Year Research-status Report
抗PD-1抗体治療後の末梢血B細胞のレパトア解析と抗原特異性の解明
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18K19490
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Research Institution | Kanagawa Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
笹田 哲朗 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター(臨床研究所), がんワクチンセンター, 部長 (70293967)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
紅露 拓 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター(臨床研究所), 臨床研究所, 研究員 (90372424)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 抗PD-1抗体 / B細胞 / B細胞受容体 / レパトア / 抗原 / バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、抗PD-1抗体で治療された各種がんにおいて、① 末梢血のB細胞受容体(BCR)レパトア解析の臨床的意義(特に、治療効果・有害事象合併を予測するバイオマーカーとしての有用性)、② 有効例あるいは有害事象合併例において選択的に増殖するB細胞クローンの認識する抗原の同定と作用メカニズムとの関連、を明らかとすることである。本研究の成果は、抗PD-1抗体の作用メカニズムを解明するとともに、不必要な治療による不利益(有害事象合併・医療費浪費)の回避につながると期待される。 本年度には、① 抗PD-1抗体で治療された進行非小細胞肺がん患者(n=30)の治療開始前後に採取した末梢血B細胞におけるBCR配列を決定した。BCRレパトアの多様性を治療前後で比較したところ、有効(PR)例では無効(SD・PD)例に比較して、治療後のBCRレパトアの多様性が有意に減少した。また、治療後のBCRレパトアの多様性変化により患者を2群に分けると、多様性減少群の無増悪生存期間が有意に延長した。以上の結果から、進行非小細胞肺がんに対する抗PD-1抗体治療後のBCRレパトア多様性の変化が治療効果を予測するバイオマーカーとして有用であるものと示唆され、現在論文投稿中である。② 抗PD-1抗体で治療された進行尿路上皮がんの患者(n=10)の治療開始前後に採取した末梢血B細胞におけるBCR配列を決定した。次年度に症例をさらに追加して、尿路上皮がんでのBCRレパトア多様性の変化と臨床効果・有害事象合併との相関を統計学的に検討する予定である。③ 上記のBCR遺伝子解析の結果から、有効例の治療後に選択的に増加したB細胞クローンに由来するBCR(IgG H鎖およびL鎖)の遺伝子配列を同定し、精製抗体を作成中である。次年度には、抗体の反応性解析および認識抗原の同定を実施し、その臨床的意義を検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度には、進行非小細胞肺がんに対する抗PD-1抗体治療後のBCRレパトア多様性の変化が治療効果を予測するバイオマーカーとして有用である可能性を示し、現在論文投稿中である。さらに、他癌種(尿路上皮がん)でのBCRレパトア解析も開始した。なお、当初は頭頸部がん・腎臓がん患者での検討を計画していたが、本研究申請後に抗PD-1抗体治療が保険承認された尿路上皮がん患者の治療件数が多かった(約30例/年)ため、確実に検体確保が可能であり、また、患者のheterogeneityが低い尿路上皮がん患者での検討を実施することとした。また、有効例の治療後に選択的に増加したB細胞クローンでの認識抗原同定の研究も実施中である。以上の研究成果より、「おおむね順調に進展している」と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度には以下の研究内容を実施する。 ① 進行非小細胞肺がん患者に対する抗PD-1抗体治療後のBCR多様性変化に関する成果は現在論文投稿中であり、論文採択を目指す。 ② 抗PD-1抗体で治療された進行尿路上皮がん患者のBCR解析データをさらに追加して、尿路上皮がんでのBCRレパトア多様性の変化と臨床効果・有害事象合併との相関を統計学的に検討する計画である。 ③ 有効例の治療後に選択的に増加したB細胞クローンに由来するBCRから精製抗体を作成中であるが、次年度には抗体の反応性解析および認識抗原の同定を実施し、その臨床的意義を検討する計画である。
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Research Products
(17 results)
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[Journal Article] Association between soluble immune mediators and tumor responses in patients with nonsmall cell lung cancer treated with anti-PD-1 inhibitor.2019
Author(s)
Matsuo N, Azuma K, Hattori S, Ohtake J, Kawahara A, Ishii H, Tokito T, Yamada K, Shibata Y, Shimokawaji T, Kondo T, Kato T, Saito H, Yamada K, Sasada T, Hoshino T.
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Journal Title
Int J Cancer.
Volume: 144
Pages: 1170-1179
DOI
Peer Reviewed
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