2019 Fiscal Year Research-status Report
高精細全脳イメージングによる一細胞レベルの四次元活動マッピング法の確立
Project/Area Number |
18K19498
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
勢力 薫 大阪大学, 薬学研究科, 招へい教員 (90802918)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | イメージング / 神経科学 / 共焦点顕微鏡 / 薬理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、経験依存的な脳機能変化における細胞レベルの神経基盤を明らかにするため、経験の前と後など複数の時間枠において活動した神経細胞を、時間枠ごとに異なる色の蛍光蛋白質で標識可能なマウスを構築し、FASTを用いた当該マウスの全脳イメージングによる神経活動の時間・空間の変化を捉える解析法の構築を目指している。 多色標識マウスのイメージングに向けて、全脳イメージング技術FASTの多色イメージングへの応用・最適化も進めており、複数種の蛍光色素を用いた多色標識脳や、アデノ随伴ウイルスベクターを用いて興奮性と抑制性の神経細胞を二色で識別して標識した脳の全脳イメージングを実施しており、FASTの詳細なプロトコールとともに成果を発表した。マウス構築については、c-fos遺伝子の下流にポリシストロニック発現を可能にする2Aペプチドを介して、タモキシフェン誘導型Cre組換え酵素、テトラサイクリン制御性トランス活性化因子を導入し、神経活動の亢進に伴ってこれら遺伝子を発現するマウスを構築した。現在、本マウスの繁殖を進めている。また、本マウスと、昨年度までに作製した遺伝子改変レポーターマウスを交配して得られる、ダブルトランスジェニックマウスの作製も進めており、活動依存的かつ薬物投与依存的に細胞を標識可能か検証を続けている。蛍光標識された細胞の脳内分布を網羅的に解析するための画像解析法構築では、昨年に引き続きc-fos-EGFPマウスの全脳画像データを用いて、これまでの我々の解析よりも細かな脳領域(例えば視床や視床下部の亜核など)に分類して解析するための画像処理法を確立した。これは現時点ではEGFP単色の画像解析ではあるものの、多色全脳画像にも拡張可能である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初から計画していた、c-fosプロモーター制御下にタモキシフェン誘導型Creとテトラサイクリン制御性トランス活性化因子を導入したマウスを得ることができた。また、画像処理・解析についても、初期のFASTを用いた解析よりも脳領域を細かに分類し、定量的に蛍光標識細胞数を解析する方法を確立することができた。引き続き、作製したマウスについては細胞標識効率の更なる検証を要するものの、遺伝子改変マウスの構築と新たな画像解析法を構築できたことから、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに作製した二種類のマウスを交配し、得られたマウスを用いて時期依存的かつ活動依存的な多色標識に適した薬物濃度、標識効率を検証する。
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Causes of Carryover |
当初計画していた組換え遺伝子を有する遺伝子改変マウスを得ることができ、また全脳の蛍光画像と自家蛍光画像を用いた新たな画像処理・解析法の確立にも成功した。当該マウスにおいて、蛍光標識操作を行っていない条件下でのわずかな非特異的発現などが認められたことから、シグナル/ノイズ比を高めるためのイメージング条件および装置構成の精査や、活動依存的な標識条件を再検証する追加実験が次年度に必要になったため。
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Research Products
(2 results)