2018 Fiscal Year Research-status Report
Single cell transcriptome analysis for the intestinal immunity of neonates
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18K19503
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
澤 新一郎 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (80611756)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
城田 千代栄 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (20378194)
大島 一夫 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (20764880)
内田 広夫 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (40275699)
田中 裕次郎 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (90382928)
檜 顕成 名古屋大学, 医学系研究科, 招へい教員 (90383257)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 網羅的遺伝子発現解析 / シングルセル / 新生児 / 消化器疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はヒト粘膜免疫系を理解するため、ヒト固有のリンパ球に関する新知見の取得を目指して1細胞から得られた遺伝子発情報をもとに生体内に存在する稀少免疫細胞の機能や特徴の網羅的解析を目的とする。 平成30年度はヒト臨床検体を用いた1細胞遺伝子発現解析とオミックス手法を組み合わせ、免疫細胞情報の取得を行った。具体的には小 児外科で手術対象となった新生児腸管からリンパ球を分離後、ChromiumTM (10xGenomics社)を用いて1x10^4個の細胞についてライブラリーを作成後、次世代シークエンサーを用いて網羅的に一細胞レベルのトランスクリプトーム解析を行った。 取得遺伝子情報を多変量解析し、細胞の種類と機能を高次元 で解析したところ、T細胞、B細胞、ILCなどのリンパ球分画を表すクラスター、樹状細胞やマクロファージなどの骨髄球系細胞のクラスターのみならず間葉系ストローマ細胞のクラスターに分類することができた。一方、総細胞数に対するリンパ球分画、特にILCと考えられるCD3-CD19- CD127+細胞群の存在比が10%以下であること、転写因子などの発現量が少ない遺伝子が網羅的遺伝子解析結果に反映されていないことが障壁となり、ILCをILC1,2,3のサブセットに分類することは不可能であった。 限られた研究費の中で網羅的遺伝子発現解析を実行するためには、腸管の全細胞を対象とした解析法からリンパ球、または血球系細胞のみを対象とした解析に移行する必要がある。 本研究により、腸管バリア機能の異常が原因と考えられるミルクアレルギー、炎症性腸疾患、細菌感染症などの消化器疾患の 免疫状態に関する基礎的知見の蓄積が期待できる。しかし、疾患ごとの細胞構成や機能的相違を導き出すためにはさらに多くの症例解析が必要であり、より大規模な研究を進める必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
外科手術によって切除した新生児回腸末端部の粘膜固有層から免疫細胞を含む細胞を採取後、予定通り1x10^4個の細胞に関してシングルセル遺伝子発現解析を実行することに成功し、研究の実現可能性を確認することができた。ただし、目標としていた新生児消化器疾患3例のうち2例の施行にとどまった。 また、解析を行った2例のうち1例はエマルジョン形成に問題があり、ライブラリー作成がうまくいかなかった。 以上から進捗状況にやや遅れが生じたと判断した、
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Strategy for Future Research Activity |
技術的な問題点の解決:本年度ライブラリー作成に失敗したサンプルは低細胞生存率、細胞懸濁液に添加した血清中の不純物が原因と考えられた。今後は細胞浮遊液からリンパ球のみをフローサイトメーターによりソーティグ後、直接ライブラリー調整を行うことでエマルジョン形成時の死細胞および微粒子の混入を防止する。 免疫学的意義の検討:炎症所見の有無を指標として解析症例を2例に厳選し、免疫細胞の活性状態を一細胞遺伝子発現プロファイルの違いとして抽出することが可能か検証する。
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Research Products
(11 results)