2018 Fiscal Year Research-status Report
PET核種の光増感作用を活用したセラノスティックスのための量子ドットナノマシン
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18K19517
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
松浦 栄次 岡山大学, 中性子医療研究センター, 教授 (20181688)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | PET / 量子ドット / PDT / チェレンコフ光 |
Outline of Annual Research Achievements |
蛍光性量子ドットは、PET核種に由来するCherenkov光を励起光とする蛍光、およびシンチレーション機構を介してβ・γ線により励起され、発光強度が増大すると考えられる。このことから、量子ドットと、その蛍光により励起されうる光増感剤との複合体を形成させることで、生体内においてPET核種により励起され一重項酸素を産生する治療システムを構築できると考えた。本研究では、PET核種によって励起され活性酸素種を産生する量子ドット製剤を作製し、がん指向性PET薬剤とともに腫瘍局所で共在させることで、細胞傷害作用をもたらすことのできる新規治療システムの構築を目的とする。 平成30年度は、量子ドットの水溶化および光増感剤との複合体の形成を行い、PET核種によって励起可能かどうかを調べた。量子ドットとしてはカドミウムを含むものが一般的であるが、毒性が懸念されるため、今回は、カドミウムフリーの量子ドットを用いることとした。量子ドットを水溶化するため、PEG結合リン脂質とともにフィルムを形成し、水和することでミセル内包されることが確認された。また、光増感剤としてフタロシアニン系色素を用いて、量子ドットとともに上記と同様に水和することで両者がミセル内包されることが分かった。次いで、得られた量子ドットミセルがPET核種により励起されるか否かを調べるため、89Zrと混和し発光・蛍光イメージング装置を用いて発光スペクトルを調べたところ、量子ドットの蛍光波長に合致するスペクトルが得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(理由) 平成30年度は量子ドットがPET核種由来の放射線により励起されるか否かを調べるため、量子ドットのミセル内封、および光増感剤の担持を計画し、予定した一連の検討は滞りなく遂行した。以上の検討より、次年度に実施予定の細胞傷害作用の検証を行うための準備態勢が整った。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度までに量子ドットミセルの調製方法を確立済みである。次年度はこれに対してペプチドを担持させ細胞内侵入性を付与するとともに蛍光イメージングによる担がんマウス投与後の生体内分布を評価することで、量子ドットミセル剤形を最適化する。次いで、本研究の最終目標であるPET核種共存下での細胞傷害作用を検証する予定である。
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