2018 Fiscal Year Research-status Report
単一細胞解析技術と革新的マウスモデルを用いた膵癌転移機構の解明
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18K19546
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
竹原 徹郎 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (70335355)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小玉 尚宏 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (10623275)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | 膵癌 / エレクトロポレーション / レンチウイルス / 遺伝子導入 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は膵臓がんを対象とし、単一細胞での網羅的遺伝子発現解析技術を用いたヒト膵がん臨床試料の解析と、ゲノム編集技術による革新的膵がんマウスモデルを用いた基礎的研究により、膵がん転移の分子基盤を解明することを目的とする。本年度は主に生体内での遺伝子改変を行うマウスモデルの樹立を試みた。膵特異的にKras活性化p53ヘテロ欠損を生じるマウスを作成したところ約3ヶ月令で膵に腫瘍形成を認め、このモデルをプラットフォームとすることとした。次に野生型マウスを用いてエレクトロポレーションによるGFP発現ベクターの膵内への導入効率を検討した。既報に基づき、A)100v3回のパルスもしくはB)50v2回のパルスで施行したところ、導入24時間後に血清アミラーゼ値はA群平均4189IU/L、B群で平均2704IU/L、血清リパーゼ値はA群で平均166IU/L、B群で平均101IU/LとA群において高値であった。しかしいずれの群も導入72時間で血清アミラーゼ・リパーゼ値は導入前と同程度まで改善し、以降20日後までの経時的な検査において上昇を認めなかった。導入効率はA群において平均1.4%、B群において平均2.3%とB群で有意に導入効率は高値であった。次に野生型マウスの膵管に逆行性に各種タイターでGFP発現ベクターレンチウイルスを注入し、導入効率をGFP発現量により検討した。ウイルス量を105、106、107の三段階で投与したところ、導入効率は其々平均2,5%、3.8%、6.4%であり、ウイルス量依存的に導入効率は増加した。また、逆行性膵管内導入法による遺伝子導入24時間後の血清アミラーゼ値は平均2880IU/L、血清リパーゼ値は平均16IU/Lであり、膵酵素の上昇は認めなかった。以上より、生体内ゲノム編集には高タイターのレンチウイルスを用いた遺伝子導入法が最も有効であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度において、膵がんマウスモデルを用いた生体内ゲノム編集技術が確立できており、概ね計画は順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、ヒト膵癌臨床試料を用いた単一細胞網羅的遺伝子発現解析を施行する。また、その結果に基づいて得られた膵癌の癌遺伝子候補について、本年度に確立したマウスプラットフォームを用いて、個別検証を行う。
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