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2018 Fiscal Year Research-status Report

Novel functions of human lipopeptide immunity in viral infection and autoimmunity

Research Project

Project/Area Number 18K19563
Research InstitutionKyoto University

Principal Investigator

杉田 昌彦  京都大学, ウイルス・再生医科学研究所, 教授 (80333532)

Project Period (FY) 2018-06-29 – 2020-03-31
Keywords抗原提示 / リポペプチド / ウイルス / 自己免疫
Outline of Annual Research Achievements

研究代表者のこれまでの研究から、2種のアカゲザルリポペプチド提示分子に共通した特質が明確となりつつある。これらの情報をもとに、ヒトリポペプチド提示分子の新同定を行う。ペプチドを結合する古典的MHCクラス1分子にはみられない細胞生物学的特質に着目して、すでにその絞り込みを完了しており、約80種の候補遺伝子の構築を終えている。これらのリコンビナントタンパク質を作出し、そのリポペプチド結合能を評価することにより、ヒトリポペプチド結合分子の同定へと進む。候補分子について、さらにX線結晶構造解析へと進み、リポペプチド結合を視覚的に証明するとともに、その結合様式を解明する。ついで、ヒトリポペプチド《結合》分子がリポペプチド《提示》分子として機能することを証明し、かつ個体レベルでの詳細な免疫解析を可能とするため、同定したヒトリポペプチド結合分子を発現したトランスジェニックマウスを作出する。そして、感作個体におけるリポペプチド特異的T細胞応答の存在を、テトラマー染色ならびにエリスポット法により実証する。さらにウイルス感染(MMLVマウスレトロウイルス等)に伴い、ウイルスリポペプチド特異的T細胞応答が誘起されることを確認するとともに、自己抗体や自己反応性T細胞の出現、血管炎、免疫複合体・補体の組織沈着等を指標に自己免疫病態の発露を多角的に検証する。これらの初期解析を基盤として、さまざまな遺伝的背景を持つマウス系統へと展開するとともに、特異的ブロッキング抗体の使用を含めた制御法を探究する。これらの解析結果をもとに、なぜヒトにおいて、ウイルス感染に伴い自己免疫疾患の増悪が見られるのか、リポペプチド免疫の視点からその答えが見いだす。以上の解析から、ヒトリポペプチド特異的T細胞応答の分子基盤を確立し、生体防御における意義を解明する。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

絞り込みを完了したヒトリポペプチド提示分子候補について、大腸菌発現用遺伝子ベクターの構築を行い、リコンビナントタンパク質の調整を完了した。ベータ2ミクログログリンとモデルリポペプチドの存在下にバッファーシステムのおけるリフォールディングを行い、得られた三量体の存否を逆相液体クロマトグラフィーにより評価した。その結果、少なくとも2つのヒトMHCクラス1重鎖(LP1a, LP1cと表記する)がモデルリポペプチド存在下でベータ2ミクログロブリンを安定的な複合体を形成できることがわかった。LP1cについては大量にリコンビナントタンパク質を調製し、最適な結晶化条件を決定した。得られたサンプルについて、高解像度でのX線結晶構造の決定に成功し、モデルリポペプチドがアルファ1ヘリックスとアルファ2ヘリックスの間に構築された抗原結合溝に収容されていることが明らかとなった。これはリポペプチドを結合するヒトMHCクラス1分子の初めての同定である。LP1cのリポペプチド提示能力とその免疫学的意義を実証することを目的としてHP1cトランスジェニックマウス作出の準備を始め、トランスジーンの構築まで終えている。一方、LP1aについてはリコンビナントタンパク質の大量調整まで完了した。

Strategy for Future Research Activity

1年目の研究計画は当初の想定を越えた進展があり、2年目においてもこれを継続推進する。LP1cについては、ペプチド結合複合体のX線結晶構造も解明できているので、リポペプチド結合LP1cとの構造学的違いを明らかにすることにより、結合リガンドの選択に関わるアミノ酸が同定できる可能性がある。LP1cトランスジーンの構築はすでに完了しているので、マウス受精卵へのインジェクションを実施し、トランスジェニックマウスの作出を行う。同時にタンパク質発現をフォローサイトメトリーにより検出できるモノクローナル抗体を樹立する予定である。LP1aについても同様の研究展開を目論む。LP1a, LP1cトランスジェニックマウスに対してモデルリポペプチドを用いた感作を行い、誘導されるリポペプチド特異的LP1a/LP1c拘束性T細胞応答をエリスポット法により検出する。さらに抗原特異的T細胞株を樹立し、LP1a及びLP1cのリポペプチド提示能力をより明快な形で実証する。さらにそれ以外の絞り込み分子についても解析を広げ、リポペプチド提示ヒトMHCクラス1分子グループの同定とその構造学的特質を明らかにする。

Causes of Carryover

作出したトランスジェニックマウスについて、仔の産出が安定化するまで、交配用の市販ノックアウトマウスの購入を差し控えている状況であるため。トランスジェニックマウスの仔産出が進み次第、市販のノックアウトマウスを海外より導入する予定である。

  • Research Products

    (4 results)

All 2019 2018 Other

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (2 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] Identification and Structure of an MHC Class I-Encoded Protein with the Potential to Present N-Myristoylated 4-mer Peptides to T Cells2019

    • Author(s)
      Yamamoto Y, Morita D, Shima Y, Midorikawa A, Mizutani T, Suzuki J, Mori N, Shiina T, Inoko H, Tanaka Y, Mikami B, Sugita M.
    • Journal Title

      Journal of Immunology

      Volume: 202 Pages: 未定

    • DOI

      10.4049/jimmunol.1900087

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 霊長類研究から見えてきた、非ペプチド抗原を標的とする新しい獲得免疫機構2018

    • Author(s)
      森田大輔、嶋燿子、杉田昌彦
    • Organizer
      第29回日本生体防御学会学術総会
  • [Presentation] リポペプチドを提示するMHC class 1 分子の内因性リガンドの同定2018

    • Author(s)
      嶋燿子、森田大輔、杉田昌彦
    • Organizer
      第29回日本生体防御学会学術集会
  • [Remarks] 京大ウイルス研・杉田研究室

    • URL

      https://www.infront.kyoto-u.ac.jp/ex_ivr/Lab/SugitaLab.html

URL: 

Published: 2019-12-27  

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