2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of novel cell therapy for severe pneumonia using induced-pulmonary epithelial-like cells via direct reprogramming technique
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18K19566
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
石井 誠 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (30317333)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 直接リプログラミング / 肺上皮細胞 / 再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
肺炎は、世界及び本邦で死因3位の重篤な疾患であり、適切な治療を行っても、しばしば急性呼吸窮迫症候群(ARDS)をきたし致死的となる。また慢性閉塞性肺疾患や肺線維症は慢性進行性の難治性疾患であり、これらの急性・慢性の肺の不可逆的・難治性の破壊病変に対しては、肺移植以外は根治的な治療はない。そのため、損傷肺の根本的な回復のためには、再生医学を駆使した新たなアプローチからの新規治療法の確立が望まれる。 現在の再生医学は、induced pluripotent stem cells (iPS細胞)等の幹細胞を用いる手法が主流であるが、発生段階をなぞり各ステップで各種増殖因子を添加するなど煩雑であり(Gotoh S et al. Stem Cell Reports, 2014)、臨床的応用性が難しい。また、幹細胞を使用するため腫瘍形成のリスクがある。 近年、幹細胞を用いない新たな再生医療の手法として、終末分化した体細胞 (線維芽細胞など)に特異的遺伝子を過剰発現させることで、幹細胞を経ずにワンステップで目的の細胞を誘導する直接リプログラミングが注目を浴びている。 直接リプログラミング法は、これまで、神経細胞、心筋細胞、肝細胞などですでに報告されているが、肺上皮細胞に関してはなかった。研究代表者らは、マウス線維芽細胞で、あらかじめリプログラミング候補因子として14因子選定し、各種検討の結果、特異的3ないし4因子の導入により、2型肺胞上皮細胞のマーカーであるSP-C遺伝子および蛋白が発現している肺上皮細胞の誘導が可能となった。 本年度は、本誘導細胞(肺上皮様細胞)を用いて、まずインフルエンザ感染マウスでの検討を開始した。誘導細胞をインフルエンザ感染マウスに経気道投与を行うことで、対照群として因子未導入の線維芽細胞を投与した群に比べて、有意に生存率が上昇した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本誘導細胞(肺上皮細胞)を安定して再現性を持って誘導が可能となっており系が確立した。 インフルエンザ感染モデルにおいては、誘導細胞の経気道投与により、その生存率が上昇しており、予定通り順調に進展しており、次年度は、その保護的作用のメカニズムを検討していく。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、保護的作用の傾向がみられているインフルエンザ感染では、①生存率、②ウイルス量測定(プラークアッセイ)、③肺免疫細胞分画(FACS)、④肺胞洗浄液中の細胞数・細胞分画・サイトカイン測定(ELISA)、⑤肺病理組織、⑥投与したiPUL細胞の生着の有無を免疫蛍光組織染色で検討を行う等、保護的作用のメカニズムを解明する。さらに、当教室で確立している、肺炎球菌性肺炎に関しても検討を予定する。
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Causes of Carryover |
当初、誘導細胞のRNA-sequenceによる網羅的遺伝子解析を予定していたが、準備が整わなかったため、次年度に使用を予定している。
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Research Products
(9 results)