2018 Fiscal Year Research-status Report
「かたち」と「うごき」に注目した造血幹細胞の分類・機能評価
Project/Area Number |
18K19570
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Research Institution | National Center for Global Health and Medicine |
Principal Investigator |
田久保 圭誉 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 生体恒常性プロジェクト長 (50502788)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 造血幹細胞 / 造血前駆細胞 / 幹細胞性 / イメージング / 画像解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
臓器の細胞社会を研究する際には、多数の細胞の中から解析対象の特定の細胞を見つけて、取り出して、解析する方法が不可欠である。全ての血液細胞を一生にわたって生み出し続ける造血幹細胞研究では、主に蛍光標識抗体や遺伝学的レポーターで細胞を標識し、フローサイトメーターを用いて特定の血液細胞を同定し、取り出して様々な解析が行われている。しかし、炎症時や培養後など、造血幹細胞を表面マーカーや遺伝学的レポーターではうまく同定できない状況が存在することを見出してきた。また、既存の手法では更なる造血幹細胞亜集団の純化は未だ達成できていない。本課題では、こうした典型的な造血幹細胞の同定手法の限界を突破するための、非古典的な数理生物学的な方法論の手がかりをつかむことを目的として研究を実施している。初年度は、まず造血幹細胞の「かたち」と「うごき」を測定するための二次元プラットフォームの確立をめざした検討を行った。これまで造血幹細胞の汎用可能な同様のプラットフォームは存在しないため、ハイコンテントアナライザーを用いて、細胞の接着器材やサイトカイン・培地などの培養条件を最適化することで造血幹細胞の「かたち」と「うごき」を測定することが可能であるか検証した。特に、培地組成をはじめとする種々の培養条件の最適化を通じて、幹細胞性を高く保ったまま長時間の造血幹細胞の数理生物学的パラメーターを測定する手法を確立するための基盤を整えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、まず造血幹細胞の「かたち」と「うごき」を測定する二次元プラットフォームの確立をめざした検討を実施した。これまで造血幹細胞の汎用可能な同様のプラットフォームは存在しなかったことから、系の確立に関する詳細な検討と条件設定を繰り返した。その結果、ハイコンテントアナライザーを用いて、細胞の接着器材やサイトカイン・培地などの培養条件を最適化することで造血幹細胞の「かたち」と「うごき」を測定することが可能であることが見出された。特に、培地組成をはじめとする種々の培養条件の最適化を通じた、幹細胞性を高く保ったまま長時間の造血幹細胞の数理生物学的パラメーター測定が重要であることを示唆する知見を得ている。こうした確立しつつある系を用いて様々な状況における未分化血液細胞の「かたち」と「うごき」の測定と、データを経時的に収集することが可能なことを示した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、表面マーカーに基づいて定常状態の造血幹細胞と多能性前駆細胞などの分化細胞をフローサイトメーターで単離し、前項で確立したプラットフォームでそれらの「かたち」と「うごき」のデータを経時的に収集する。また、分化マーカーの蛍光標識抗体を培養に加えておくことで分化のタイミング前後で「かたち」と「うごき」に変化があるか経時的に解析していく。得られたデータは画像解析プログラムを用いて定量的な解析を実施する。
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