2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of region-specific inhibitors against epigenomic aberrations critical for gastrointestinal tumorigenesis
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18K19572
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
金田 篤志 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (10313024)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | がん / エピゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
DNAメチル化やヒストン修飾等のエピゲノム情報は発生分化や細胞リプログラム等、細胞運命を決定する鍵となり、その異常は癌など様々な疾患の原因となる。それゆえエピゲノム修飾を標的とした機能性分子による治療法の開発が求められているが、従来の機能性分子単剤では作用領域がゲノム全体に及ぶため、阻害効果が過多となる弊害がある。この問題点を解決する手段として本研究では、DNA配列認識能を有するピロール-イミダゾールポリアミド(PIP)を融合させ、機能性分子の作用領域を局所化させる技術開発を行った。ヒストン脱メチル化酵素(HDM)およびヒストン脱アセチル化酵素に対する阻害剤のうち、本年度はHDM阻害剤を中心に検討した。PIPとの縮合反応ができるようカルボキシル基などを導入した誘導体を作成し、4~6塩基のPIPと縮合してプロトタイプ化合物を合成し、LSD1阻害能が低下していないことを評価した。細胞にプロトタイプ分子の投与を行い、WST-8 assayで細胞毒性を測定し、またヒストン修飾変化をChIP-seq法にて、遺伝子発現変化をRNA-seq法にて評価した。阻害剤親分子がゲノムワイドに活性化するのに対し、PIPを縮合した開発小分子が、PIPが認識する塩基配列が豊富な領域で選択的に活性化作用が認められるか検証し、縮合に用いるリンカーの種類やPIPの配列などを修正・改良している。 並行して標的となるエピゲノム異常領域を同定するため、胃上皮細胞に発癌性ストレスとして EBウイルス感染システムを用いてエピゲノム変化を誘導し、ダイナミックに変化するヒストン修飾、DNAメチル化、遺伝子発現を時系列的、網羅的に解析した。エンハンサー領域など、発癌に重要な特異的エピゲノム変化を同定した。転写因子の認識モチーフなど、開発小分子の治療標的となり得る有望な候補配列を検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ヒストン脱メチル化酵素LSD1に対する阻害剤NCD38について検証した。NCD38の誘導体にPIPを縮合し、LSD1阻害活性が低下しないことを検証したのち、癌細胞株に投与した。NCD38を単独で投与すると、GC-richな領域を中心にエピゲノムを活性化変化させ周囲の遺伝子発現上昇させた。AT-richな領域やWCGW配列を含む領域の活性化はあまり見られなかった。そこで、WWWWWW配列を特異的に認識するPIP趣向号化合物NCD38-b2P4を細胞に投与すると、NCD38とは異なる領域が活性化され、活性化領域のGC-rich配列は顕著に少なくなり、WWWWWW配列などAT-rich配列が顕著に増加した。同様に、WWCGWW配列に特異的に結合するNCD38-b2PIPPを投与すると、活性化領域のGC-rich配列は有意に減少し、WWCGWW配列が有意に増加した。塩基配列特異的に結合する小分子PIPを縮合したエピゲノム阻害剤としてまずプロトタイプ配列のPIPを用いた挑戦で想定以上の小分子開発に成功し、その配列を含む領域に選択的にエピゲノム阻害を誘導できることを証明した[Oncotarget 2018]。 並行して行っている胃上皮細胞へのエピゲノム変化の解析では、エンハンサー領域のダイナミックなヒストン修飾変化を同定した。上皮細胞分化や細胞増殖抑制に関連する遺伝子群が不活化され、逆に細胞増殖促進に関連する遺伝子群が活性化されるなど、エピゲノムランドマークが顕著に変化した。エピゲノム変化は一定のモチーフ配列を含む領域に濃縮していたが、ゲノム全体のエンハンサー領域においてエピゲノム状態が発癌へ向けて大きく変化しており、開発小分子の標的となり得る発癌ドライバーとなっている可能性が大いに期待された。
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Strategy for Future Research Activity |
画期的な結果を得た融合分子について、さらに検証を行う予定である。初年度はLSD1阻害剤としてNCD38を用いたが、その構造やリンカー配列を改変し、標的とするDNA塩基配列への結合やその周囲のヒストン修飾変化をさらに向上させる。またLSD1阻害剤では、ヒストン脱メチル化阻害によるH3K4メチル化の上昇よりも、ヒストンアセチル化による活性化が顕著に認められる。CoREST複合体のLSD1を阻害することにより、同時に複合体を形成するHDACを阻害することが原因と考えられるが、次年度は直接HDAC阻害剤についての検証を大きく進めていく。PIPに縮合できるよう誘導体を合成し、PIPを縮合してHDAC阻害活性の低下のないこと、細胞増殖阻害活性の低下のないことを検証し、また細胞へ投与して領域特異的にヒストンアセチル化を誘導するかを検証して、領域選択的なヒストンアセチル化を可能にするとともに、LSD1阻害剤だけでなく広くヒストン修飾阻害剤を特異的ゲノム領域に誘導可能であることを検証していく。 胃上皮細胞のエピゲノム変化の解析では、エピゲノム変化領域に濃縮して認められたモチーフ配列について、発癌に密接に関与しドライバーとして働く重要なモチーフ配列、あるいはそのモチーフを認識する転写因子の同定を進めるため、EBウイルス感染後に活性化している転写因子をshRNAを用いてノックダウンし、発癌性エピゲノム変化を阻害すること、細胞増殖抑制効果を示すこと、など機能解析を遂行して開発小分子の標的となるモチーフ配列を同定し、その配列を特異的に認識するPIPを開発・合成して、プロトタイプ化合物同様にエピゲノム阻害剤に縮合する。
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[Journal Article] Synthsis of LSD1 Inhibitor-Pyrrole-Imidazole Polyamide Conjugates for Region-Specific Alterations of Histone Modification.2019
Author(s)
Qin R, Takayanagi S, Kondo Y, Li J, Shiga N, Nakajima M, Shinohara K, Yoda N, Suzuki T, Kaneda A, and Nemoto T
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Journal Title
Heterocycles
Volume: -
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Region-specific alteration of histone modification by LSD1 inhibitor conjugated with pyrrole-imidazole polyamide.2018
Author(s)
Alagarswamy K, Shinohara K, Takayanagi S, Fukuyo M, Okabe A, Rahmutulla B, Yoda N, Qin R, Shiga N, Sugiura M, Sato H, Kita K, Suzuki T, Nemoto T, Kaneda A.
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Journal Title
Oncotarget
Volume: 9
Pages: 29316-35
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Presentation] LSD1 Inhibitor Conjugated with PI Polyamide Enhances Region Specific Activation of Genomic Regions.2018
Author(s)
Kokiladevi Alagarswamy, Ken-ichi Shinohara, Shihori Takayanagi, Masaki Fukuyo, Atsushi Okabe, Bahityar Rahmutulla, Natsumi Yoda, Rui Qin, Naoki Shiga, Kazuko Kita, Takayoshi Suzuki, Tetsuhiro Nemoto, Atsushi Kaneda.
Organizer
Vanderbilt-Ingram Cancer Center Annual Scientific Retreat
Int'l Joint Research
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[Presentation] DNA結合小分子を応用した領域選択的エピゲノム制御概念の開発.2018
Author(s)
篠原憲一, 依田夏美, 福世真樹, 岡部篤史, Kokiladevi Alagarswamy, Bahityar Rahmutulla, 覃 睿, 中島誠也, 喜多和子, 鈴木孝禎, 根本哲宏, 金田篤志.
Organizer
第41回分子生物学会年会
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