2019 Fiscal Year Research-status Report
難治性胸部悪性腫瘍の炎症性癌微小環境を標的とした画期的抗体療法
Project/Area Number |
18K19581
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
豊岡 伸一 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (30397880)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
枝園 和彦 岡山大学, 大学病院, 客員研究員 (30708079) [Withdrawn]
宗 淳一 岡山大学, 大学病院, 講師 (90559890)
山本 寛斉 岡山大学, 大学病院, 助教 (40467733)
冨田 秀太 岡山大学, 大学病院, 准教授 (10372111)
諏澤 憲 岡山大学, 大学病院, 助教 (90839713)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | 肺癌 / 癌微小環境 / 炎症 / 抗体療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
腫瘍内にはがん細胞のほか、がん関連線維芽細胞(cancer-associated fibroblast, CAF)に代表されるがん細胞周囲間質細胞が存在している。それぞれの細胞は相互作用により癌微小環境と呼ばれるネットワークを形成し、がん細胞の悪性化や治療抵抗性に重要な役割を果たしていることが明らかとなりつつある。 令和元年度は炎症・肺線維化(線維芽細胞の活性化)・肺がん治療抵抗性に関する検討をin vitro、in vivoモデルを用いて行った。 肺がん手術検体を用いて、CAFおよび正常肺から分離抽出した正常肺由来線維芽細胞(NLF)のペア初代培養細胞を複数樹立し、肺がん細胞と線維芽細胞の共培養モデル作製し、腫瘍微小環境のin vitro再現モデルを構築した。このモデルを用いた検討により、インターロイキン6(IL-6)ファミリー炎症惹起性サイトカインを介したSTAT3経路の活性化が、肺がん細胞の薬剤耐性獲得に関与していることを明らかにした。さらに抗S100中和抗体による線維芽細胞活性の抑制効果を確認した。 さらに、ブレオマイシン吸入による肺線維化マウスモデルの作製プロトコールを確立し、抗S100中和抗体投与による肺線維化抑制効果の検討を行った。その結果、抗S100中和抗体投与により有意な肺線維化抑制効果が得られることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
In vitroの腫瘍微小環境再現モデルを構築し、腫瘍微小環境の中心的役割を担う線維芽細胞腫に起因する薬剤耐性作用を確認した。さらに、抗S100中和抗体による線維芽細胞活性の抑制効果を確認した。したがって、研究は概ね順調に進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
In vitroでの腫瘍微小環境再現モデルを用いて、肺がん細胞に対する分子標的治療薬/札細胞性抗がん剤と抗S100中和抗体の併用療法の効果を検証する。さらに抗S100中和抗体併用による、肺がん細胞の遺伝子発現・蛋白リン酸化の変化を網羅的に解析することにより、S100ファミリー関連シグナル経路の解明を行う。 また昨年度に引き続き、抗S100ファミリー中和抗体の開発を継続し、抗S100中和抗体を数種類組み合わせた抗S100中和抗体カクテル療法の可能性を検討する。
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Causes of Carryover |
当研究室ですでに保有していた分子生物実験試薬を使用することにより、次年度使用額が生じた。引き続き次年度予定している分子生物実験試薬の使用を予定している。
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