2018 Fiscal Year Research-status Report
Novel high-throughput assessment of radiation exposure at computed-tomography for lung cancer
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18K19582
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
岡田 守人 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (70446045)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 肺癌 / 放射線被曝 / CT検査 |
Outline of Annual Research Achievements |
肺癌などの悪性新生物の診断・治療および治療後経過観察においてCT検査は欠かせないが、その放射線被曝による人体への有害事象(2次癌の発生など)が危惧される。しかしCT検査による生体への放射線影響に関する科学的知見は皆無である。簡便な染色体異常検出法としてPNA-FISH法が近年開発され、従来のギムザ染色法とは比較にならないほど診断が容易となった。本技術は低線量(15-80mGyレベル)照射においても血液細胞の染色体異常の有無評価が可能である。本研究ではPNA-FISH法を用いてエビデンス提示には欠かせないが従来法では困難であった多数検体の解析法としてハイスループット染色体全自動解析システムの構築を目指す。さらに肺癌患者において抗癌剤使用の有無を考慮してCT検査の前後に採血を行い、新システムを用いて放射線被曝の影響を染色体異常などのゲノムレベルおよび遺伝子発現レベルで解析、スコア化して、被曝におけるCT検査の安全性や至適使用頻度、抗癌剤併用リスクの提唱を目指す。 1)自動解析用染色体標本の最適化 画像認識ソフトウェアでは重なり合った染色体を2つの別の染色体として認識することが困難である。このため、まず最適な染色体標本の作製条件を模索中である。さらに蛍光色素だけでなく、PNAプローブを認識する赤色および緑色の化学色素を用いて光学顕微鏡においても観察可能なPNA-FISH法の確立に取り組んでいる。 2)染色体画像解析ソフトウェアの改良 ギムザ染色による染色体標本用の二動原体染色体・環状染色体用の自動解析ソフトウェアを基盤とし、PNAプローブにより赤色と緑色の色素で可視化されたセントロメア、テロメアからなる染色体の自動解析ソフトウェアの開発に取り組んでいる。学習ソフトウェアを用いて染色体認識率と染色体異常検出率の向上を図り、ゲノム損傷マーカーであるγH2AXなどのゲノム修復関連タンパク質について免疫蛍光抗体法による解析も施行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自動解析用染色体標本の最適化において、 蛍光色素だけでなくPNAプロープを認識する赤色および緑色の化学色素を用いて光学顕微鏡においても観察可能なPNA FISH法の確立に取り組んでおり、最適な染色体標本の作製条件を模索中である。 染色体画像解析ソフトウェアの改良において、 染色体の自動解析ソフトウェアの開発に取り組んでいる。また、ゲノム損傷マーカー、ゲノム修復関連タンパク質について免疫蛍光抗体法によって解析中である。 当初の予定通り、順調に研究は進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
1)自動解析用染色体標本の最適化 と 2)染色体画像解析ソフトウェアの改良 によるハイスループット染色体全自動解析システムの構築を現在行っている。今後はこれらの研究に加えて、1)患者血液検体における染色体異常(PNA-FISH法)、ゲノムおよび遺伝子発現解析 と 2)染色体・ゲノム異常および遺伝子異常のリスク評価スコアリング によって、ゲノムおよび遺伝子の発現解析を用いた生体への放射線影響の定量化モデルの確立を行う予定である。
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Causes of Carryover |
当初、購入する予定だった実験に使用する物品(メタノールやディスポーザブルピペットなど)を買わなくなり、次年度に持ち越されてしまったので。
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