2018 Fiscal Year Research-status Report
ヒトiPSCミニ肝臓における細胞間相互作用因子の準網羅的な機能的スクリーニング
Project/Area Number |
18K19589
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
関根 圭輔 横浜市立大学, 医学部, 講師 (00323569)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | iPS細胞 / オルガノイド / シングルセルRNAシークエンス |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでにiPSCミニ肝臓のシングルセルRNAシークエンス解析を実施し、複数の細胞系譜をより分ける手法を開発し、胎児肝臓の段階に相当するiPSCミニ肝臓内で生じる異なる細胞種間の細胞間相互作用因子の解明に成功している(Sekine K et al, Nature 2017)。 本研究では、ヒト立体臓器の形成過程で起る異種細胞間の細胞間相互作用の機能的解明と、再生医療に資するiPSCミニ肝臓の製造工程における機能的な品質評価指標の同定を目指し、相互作用因子の機能解析を実施する。そのため、ヒトiPSCミニ肝臓を対象にCRISPR/ CAS9法を用いて数十から数百個程度の遺伝子を対象とした準網羅的な機能的スクリーニング系の構築と実施を試みる。 効率よく遺伝子欠損を実施するため、ドキシサイクリン添加によりCas9の発現を誘導可能な遺伝子をヒトiPS細胞のAAVS1遺伝子座に相同組換えにより導入したiCrispr-iPS細胞を複数のiPSC株について樹立した。 まず、この細胞を用いて効率の良いノックアウト細胞の樹立が可能か否か評価する目的で、シングルセルRNAシークエンスにより明らかにした、分化細胞での未分化iPSC残存に関与が想定される4遺伝子についてノックアウト細胞を複数作製した。その結果、いずれの遺伝子に対しても80~100%の効率でノックアウトが可能であった。従ってこの細胞を用いることで、準網羅的スクリーニングが可能であると判断した。この細胞については現在機能解析を実施している。 また、次年度へ向け、準網羅的スクリーニングのための標的遺伝子の抽出を行い、gRNAを複数設計した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに、ドキシサイクリン添加によりCas9の発現を誘導可能なヒトiPS細胞を複数のiPSC株において樹立した。更に、この細胞を用いることで80~100%という高い効率でノックアウトが可能であった。従ってこの細胞を用いることで、準網羅的スクリーニングが可能であると判断した。 以上の事から、準網羅的スクリーニングへ向けた準備が整ったため順調な進捗であると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度作製した効率よくノックアウト可能なiPS細胞株を用いて、選定した標的遺伝子対するノックアウト作製と機能解析を実施する予定である。これにより、ほぼブラックボックスであった立体臓器の形成過程で起る細胞間相互作用を、これまでに同定した数十から数百遺伝子の細胞間相互作用因子を対象に、iPSCミニ肝臓を用いて網羅的な機能解析を試みる。
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