2018 Fiscal Year Research-status Report
モザイク状体性遺伝子変異に起因する血管奇形動物モデルの開発
Project/Area Number |
18K19599
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡崎 睦 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (50311618)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗田 昌和 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (20424111)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 血管腫 / 血管奇形 / ゲノム編集 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、体表・軟部組織の血管奇形(Vascular Malformation)の病態解析、治療的介入方法の開発を目的として、あたらしい「発生過程で細胞種非特異的かつ確率論的にモザイク状に体性遺伝子変異を発現する動物モデル」の作成を目指している。これを進めるために、「テトラサイクリンによるCreリコンビナーゼの作用時期調整」、「複数のLoxP配列を用いた確率論的な変異遺伝子の組み換え」、さらに「CRISPR/Cas9によるゲノム編集」を組み合わせて用いたシステムのデザインを進めてきた。一方で、デザインしたシステムが期待通りに作動することを確認することを目的として、分子生物学的実験操作を行いうる設備の整備を進めてきた。特に、当該作業に適した大腸菌として複数の大腸菌株の中からstbl3株を選択し、高い効率のコンピテントセルを作成する手技を確立した。これを用いて、野生型マウス組織からゲノムDNAを抽出した。精製したゲノムDNAを鋳型として、全身の細胞で遍在的に発現を得やすいRosa26遺伝子座領域をPCR増幅した上で、代表的なクローニングベクターであるpUC19ベクターにクローニングした。現在、同遺伝子配列中に、tet-Oプロモーター、Cre-loxP配列、CRISPR/Cas9配列を組み合わせた配列のクローニング作業を進めている。また、最終的に完成したコンストラクトを遺伝子ターゲッティングの手法でマウスES細胞のゲノムに組み込んでいくため、マウスES細胞の培養実験系の最適化も進めてきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
所属分野にとって分子生物学的操作を用いる実験系の初導入であるため、基本的実験系の整備に時間を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
現在作成中のシステムを用いることによって、確率論的にモザイク状に遺伝子変異を発現する発現することができることを確認するため、当該コンストラクトを用いて、マウスES細胞のゲノムに組み込み、in vitroにおけるCreリコンビナーゼ作用時に、どの程度の割合の細胞において実際にゲノム編集が起きるかを調べる。全身的に発現すると胎生致死する遺伝子のモザイク状発現を目的とすることから、1-10%程度を目安として確率論的に変異が発生することを確認する。in vitroにおいて適正な組換え率(1-10%)を与える配列を同定した後、ゲノム編集によって同配列を組み込んだマウスES細胞から、キメラマウス作成を介して遺伝子組み換えマウスを作成する。テトラサイクリン誘導下にCreリコンビナーゼを発現する既存のマウスストレインとの掛け合わせ後、成体および胎生前期(母体投与)の段階でそれぞれテトラサイクリンを投与し、投与量の最適化を行うとともに、in vivoでの変異遺伝子発現寄与率を調べる。システムが期待通り機能していれば、成体でのテトラサイクリン投与では、個体、組織レベルでの均一の変異遺伝子発現を、胎生早期での投与では、組織レベルでのモザイクを認めることが期待される。変異遺伝子として、家族性低流量血管奇形の家系解析から静脈奇形の病因遺伝子変異として知られているTie2遺伝子の活性化突然変異(L914F変異)を採用し、キメラマウス作成を介して遺伝子組み換えマウスを作成する。テトラサイクリン誘導下にCreリコンビナーゼを発現する既存のマウスストレインとの掛け合わせ後、胎生早期からL914F変異を誘導した際の表現型を調べる。
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