2018 Fiscal Year Research-status Report
Mdm2-p53を基軸とした卵巣機能調節と不妊治療への応用
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18K19600
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大須賀 穣 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (80260496)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣田 泰 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (40598653)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 卵子成熟 / 排卵 / Mdm2 / p53 / 不妊 |
Outline of Annual Research Achievements |
排卵に関わる重要な過程である卵子成熟の機構は解明されておらず、卵子成熟不全は体外 受精の不成功の原因となっている。本研究者らは癌抑制因子p53が子宮において着床や分 娩に関わることを報告してきたが、卵巣におけるその意義は不明である。Mdm2はp53の抑制因子であり、Mdm2を欠損させるとp53分解が起こらずp53の作用が増強する。本研究では、卵巣におけるp53の作用を調べるため、卵巣のMdm2欠損マウスおよびp53/Mdm2の2重欠損マウスを作成し表現型解析を行い、卵巣におけるp53の転写調節のターゲットとなる下流分子を同定を試みた。プロゲステロン受容体-Creマウスを用いた卵巣のMdm2欠損マウスは、卵母細胞の成熟、排卵および受精の障害のため不妊であり、卵巣顆粒膜細胞でのp53発現の増強が認められた。一方Mdm2/p53二重欠損マウスは正常な生殖能を示した。これらの結果から、卵巣顆粒膜細胞におけるp53の誘導は卵母細胞の成熟を阻害し排卵・受精を妨げることが示唆された。また、卵丘機能の重要な調節因子であるステロイド産生因子1(SF1)は顆粒膜細胞のp53によって転写調節を受けていることが示された。今後は、ヒト卵巣顆粒膜細胞を用いて、体外受精の成績とMDM2およびSF1の発現量との相関関係を明らかにする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究成果が順調に得られている。これらの成果をさらに発展させ、次年度の研究の更なる進展が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
順調に成果を上げているため、研究計画通りに進める予定とする。
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Causes of Carryover |
Mdm2欠損マウスの繁殖において、当初の想定に反し実験に必要な成体数を得られず研究が遅延した。研究遂行上必要な成体数を得ることが必要不可欠なため、このマウスの繁殖を4か延長する必要が生じた。繁殖期間延長と解析の遅延に伴って繰越を行い、マウス管理費(その他)、マウス組織を用いた解析に関わる試薬・消耗品(物品費)に充てる。
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Research Products
(11 results)