2018 Fiscal Year Research-status Report
Influence of circadian rhythm on the susceptibility of the inner ear
Project/Area Number |
18K19602
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山岨 達也 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (60251302)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 弥生 東京大学, 保健・健康推進本部, 助教 (00452350)
近藤 健二 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (40334370)
松本 有 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80548553)
|
Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
|
Keywords | 神経科学 / 解剖学 / 細胞・組織 / 脳・神経 / 蝸牛 / 内耳 |
Outline of Annual Research Achievements |
12時間(明期:8時から20時、暗期20時から8時)ごとの明暗リズムのサーカディアンリズムを形成させたC57BL/6マウスを用いて、多点に設定(4時間毎に設定)したサーカディアンタイム(CT: 内因性リズムの位相を特定するための時刻とし、明期開始をCT0、暗期開始をCT12とする)ごとにサーカディアン関連タンパク質(PER1,PER2,CRY21A,BMAL1)の発現を解析した。80マイクロメーター厚のfree floatingの脳切片では視交叉上核を中心に脳全体にこれらの発現を認めた。CT1,CT10のいずれにおいても、PER1,PER2の発現が強く、CRY21A,BMAL1の発現は弱かった。免疫染色されたfree floating 脳切片を蝸牛透明化手法である modified Sca/eSに浸透させて観察したが、蛍光強度や分布が変化することはなかった。また、surface preparationによって摘出されたコルチ器、modified Sca/eSによる whole intact 蝸牛における解析結果も脳切片と同様であり、PER1,PER2の発現が強く、CRY21A,BMAL1の発現は弱かった。以上の結果から、modified Sca/eSによる透明化手法はサーカディアン関連タンパク質の蛍光免疫染色の観察において有効であることが示された。一方、CTごとでの蛍光タンパク質発現量の変化を認めなかったことは、サーカディアン関連遺伝子が核内に存在する転写因子であることを考えると、免疫染色による限界であった可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
蛍光免疫染色を用いて多点に設定(4時間毎に設定)したCTごとにサーカディアン関連タンパク質の発現を解析し、脳と蝸牛内での発現を確認、modified Sca/eSによる透明化手法においても蛍光輝度と分布が変化しないことを示した。一方、サーカディアンリズムを制御する遺伝子群(Per1,Per2,Cry,Bmal)は核内に存在する転写因子であることから、最適免疫染色の条件を見出すことが極めて困難であることが分かった。根拠として、同一臓器(脳もしくは蝸牛)での固定条件(4%パラホルムアルデヒド)によって蛍光輝度と分布が大きく変化したことが挙げられる。脳、蝸牛組織に関わらず緩い固定条件下では組織内全域で蛍光を確認できたが、強い固定条件下では皆無であった。これらの結果はCTを固定した条件下でも同様であり、同一CTでのサーカディアン関連遺伝子、タンパク質の発現が変わらないことを考えると固定条件のアーチファクトが原因と考えられた。また発現形態は各構成細胞体内に不均一に小胞様であることが明らかとなった。以上の結果から、蝸牛内サーカディアン関連タンパク質の定量解析にはCT条件だけでなく固定条件の検討が必要であり、解析の実現には安定したタンパク質発現かつ高解像度(S/N)での可視化できる条件を検討する必要がある。
|
Strategy for Future Research Activity |
多点固定条件(灌流固定のみ、後固定5分、30分、2時間、12時間、24時間)下でのsurface preparation, frozen sectionを作成し、最適条件の検討を継続中である。また、サーカディアン関連タンパク質の定量解析を安定かつ高S/Nで行う為に視交叉上核を中心した脳内の広範囲で高S/Nな蛍光タンパク質を発現することが知られているB6.FVB-Tg(Per1-Venus)33Obr/MmjaxマウスとB6.FVB-Tg(Per2-DsRed*T3)12Obr/Mmjaxマウスを導入する予定である。既にB6.Cg-Tg(Thy1-YFP)HJrs/Jマウスとエレクトロポレーション下にDsRedを脳神経細胞に発現させたマウスのfree floating脳切片を用いた予備実験を行いYFPとDsRedの蛍光強度はmodified Sca/eSでは変化しないことを確認している。24時間監視システムを導入するなどしてシステムのbrush upを行い、組織学的評価だけなく、phenotypeについても正確な対照実験ができるようなシステムを構築する。
|
Causes of Carryover |
当初計画ではマウスの聴覚神経系解析のためにBrainbowマウスを輸入する計画であったが、海外からの手続き・検疫に時間がかかり、遅れたため。
|
Research Products
(4 results)