2018 Fiscal Year Research-status Report
婦人科癌の包括的サポートプログラム開発を目指した患者モニタリング法の探索
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18K19612
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
万代 昌紀 京都大学, 医学研究科, 教授 (80283597)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江川 美保 京都大学, 医学研究科, 助教 (50600061)
馬場 長 岩手医科大学, 医学部, 教授 (60508240)
濱西 潤三 京都大学, 医学研究科, 講師 (80378736)
安彦 郁 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター), 内分泌代謝高血圧研究部, 研究員 (20508246)
村上 隆介 京都大学, 医学研究科, 特定病院助教 (40782363)
大石 直也 京都大学, 医学研究科, 特定准教授 (40526878)
山本 洋介 京都大学, 医学研究科, 准教授 (30583190)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | 婦人科癌 / 健康関連QOL / 個別化医療 / 患者モニタリング / 機械学習/人工知能 |
Outline of Annual Research Achievements |
婦人科癌領域における癌治療中および治療後の健康関連QOL(HRQOL)に影響を与え刻々と変化する患者の自覚症状、他覚的兆候、客観的生体指標、また治療前から患者が有する体質・背景などの因子の同定、抽出のために、当科でがん治療を行った卵巣癌・子宮頸癌・子宮体癌の全患者についてカルテより病名、治療、副作用情報抽出を行ない、健康関連QOLをアウトカムとして横断的調査(質的検討、量的検討)を試みた。当科で手術、化学療法、放射線治療歴を有する全がん患者症例について病名、治療内容についてのデータ構築は行えたが、多くの症例で自覚症状、有害事象、HRQOLの多くが自然言語で蓄積されており、また、個々のカルテデータの参照により実際には有害事象がある可能性があるが、カルテ上では情報欠落している患者も多いことが判明した。現行のカルテ情報からの横断的調査では自然言語処理を有効に行わなければ質的研究および量的研究共に有効なデータが得られず、また医師や看護師の情報入力上でのバイアスも大きいことから、横断的調査では学術的に意義のある特徴量抽出が困難と結論づけた。 がん診断時から前向きに医療者が把握する治療効果、副作用/後遺症の出現など他覚的所見および患者報告アウトカム(Patient-Reported Outcome: PRO)の収集を行う必要があると判断し、多角的な評価項目について患者のバイオマーカー、PRO収集を行う縦断的調査を実施する空間的、人的資源の確保、倫理審査手続きを開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当科でがん治療を行った卵巣癌・子宮頸癌・子宮体癌の全患者についてカルテより病名、治療、副作用情報抽出を行ない、健康関連QOLをアウトカムとして横断的調査を試みた。当科で手術、化学療法、放射線治療歴を有する全患者症例について病名、治療についてのデータ構築は行えたが、個々のカルテデータの参照により、多くの症例で自覚症状、有害事象、HRQOLの多くが自然言語で蓄積されており、情報欠落例が多いことが判明した。現状の後方視的なカルテ情報の観察研究手法ではHRQOLをアウトカムとした特徴量の抽出解析には症例数やバイアスの観点で臨床的意義のあるデータ解析は困難であると判断し、HRQOLに関する横断的調査(質的研究および量的研究)より探索的な縦断的調査へ方針を変更する必要が生じた。多角的な評価項目について患者のバイオマーカー、患者報告アウトカム収集を行う縦断的研究を開始するための空間的、人的資源の確保、倫理審査手続きを開始しているが、これらの体制の立ち上げに時間を要し研究が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
がん診断時から前向きに医療者が把握する治療効果、副作用/後遺症の出現など他覚的所見および患者報告アウトカム(PRO)の収集を行う探索的な縦断的調査を開始する。当診療科外来に本研究のための専門の場所や人員を配置し、婦人科がんと診断された時点で研究同意書を取得し、HRQOLをアウトカムとした調査を行う。調査では癌診断時の体質・背景、症状/兆候、客観的指標、PROなどについて多角的な情報収集を行い、得られた様々な情報について機械学習/人工知能による有効な特徴量の抽出を試みる。解析プラットフォームとしてのサーバー、解析器材確保も必要であり、上記調査開始に先立ち、当診療科専用のサーバーも構築する。なお、患者の特徴量抽出に必要なサーモグラフィー、体組成分析器、心拍数パワースペクトル解析器などの機材はすでに準備が終了している。1年間でdiscovery dataを収集し機械学習/人工知能による特徴量抽出を試験的に行い、次の1年間で症例を増やしての解析、validationを行う方針である。
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Causes of Carryover |
当科でがん治療を行った卵巣癌・子宮頸癌・子宮体癌の全患者について横断的調査を試みた結果、症例数やバイアスの観点で臨床的意義のあるデータ解析は困難であると判断し、探索的な縦断的調査へ方針を変更する必要が生じ計画が遅延することとなった。このため、初年度に予定していた解析に用いるサーバーや解析機器、人件費等について翌年度に持ち越す計画変更が生じた。本年度は、当科で婦人科がん治療を開始する患者に対するHRQOLをアウトカムとした探索的な縦断的調査を開始予定であり、癌診断時の体質・背景、症状/兆候、客観的指標、患者報告アウトカム(PRO)などの調査データを蓄積するサーバー、解析機器の購入を行う。また、患者調査に用いる包括的尺度、疾患特異的尺度に関して調査、購入も予定している。
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