2018 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of mechanism of stem cell aging in endometrium
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18K19618
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
加藤 聖子 九州大学, 医学研究院, 教授 (10253527)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 子宮内膜 / 幹細胞 / 老化 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)受精卵の着床の場である子宮内膜においても、加齢による変化が何らかの影響をもたらしていると考えられる。今年度は若年マウスと老齢マウスの子宮を比較し、網羅的解析により老化のマーカーと成り得る遺伝子を抽出し、ヒト子宮内膜を用いて加齢により発現が変化する遺伝子を同定することを目的とした。 5週齢、8週齢、60週齢を超える野生型マウスおよび早老症のモデルとされているklothoマウスから子宮を摘出し、total RNAを抽出しRNA-seqで網羅的に解析した。抽出した発現変動遺伝子について、検証実験として20歳代10例、40歳代10例のヒト子宮のサンプルを用いて、抽出した発現変動遺伝子の蛋白発現について組織免疫化学染色を用いて定量的に解析した。定量的解析にはImageJおよびそのプラグインIHC profilerのclour deconvolutionを用いて輝度値を比較した。マウス子宮から抽出したtotal RNAのRNA-seq解析により、代表的な発現変動遺伝子を4つ同定した。 2)不妊治療における採卵時(増殖期)に採取したヒト子宮内膜細胞から分離した子宮内膜間質細胞を用いて、胚移植後に妊娠反応が陽性であった症例(妊娠群)と陰性であった症例(非妊娠群)において複数の細胞老化誘導のマーカー(SA-β-Gal染色,細胞周期解析,遺伝子発現,SASP因子)を解析し、妊娠群と非妊娠群の年齢を含めた患者背景は同等であったが、非妊娠群の子宮内膜間質細胞では妊娠群と比較して細胞老化が顕著に誘導されていることを明らかにした。さらに、組織幹細胞マーカーの遺伝子発現解析により非妊娠群の子宮内膜間質細胞では妊娠群と比較してABCG2およびALDH1の発現が低く、子宮内膜幹細胞の減少が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
若年マウスと老齢マウスの子宮を比較し、網羅的解析により老化のマーカーと成り得る遺伝子を抽出し、マウス子宮から抽出したtotal RNAのRNA-seq解析により検証するという目標はほぼ達成された。当初の予定では、同定された遺伝子やそのsiRNAをレンチウイルスベクターに組み込み、子宮内膜の初代培養細胞に形質導入し、その生物学的特性の変化を解析する予定であったが、担当する研究協力者の大学院生が、出産し、産休に入ったため、レンチウイルスベクター作製の段階で止まっている。2019年4月に復帰したので、その続きを行なっていく。不妊症患者の子宮内膜を用いた研究に関しては、ほぼ今年度の目標を達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
1)マウスやヒト臨床検体で同定された加齢に伴い発現が変化する遺伝子の機能解析:マウスで同定された4つの遺伝子についてヒト子宮を用いた組織免疫化学染色で検証実験を行う。また、同定された遺伝子やそのsiRNAをレンチウイルスベクターに組み込み、子宮内膜の初代培養細胞に形質導入し、その生物学的特性の変化を解析し、最も重要な遺伝子・pathwayを同定する。上記で同定された子宮内膜の老化に関与する遺伝子を発現するトランスジェニックマウスまたは 欠損するノックアウトマウスを作製し、表現型(全身および子宮内膜の状態・妊娠率)を解析する。上記遺伝子改変マウスの子宮内膜初代培養細胞とマウス受精卵を共培養し受精卵の質に与える影響や着床現象をin vitroで解析する。 2)不妊症の臨床検体を用いた解析:前年度同定された遺伝子・サイトカインの発現を臨床検体(子宮内膜・血液)を用いて解析し、最も着床率と関連のあるマーカーを同定する。ヒト絨毛細胞株を、同定された各種サイトカイン存在下で培養し、増殖能・浸潤能・遊走能を解析し、至適培養条件を検討し受精卵培養法の開発につなげる。
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Causes of Carryover |
7現在の進捗状況で述べたように、研究協力者の大学院生が分娩・産休のため、2019年度に予定した実験の一部が施行できなかった。その経費の分を繰越金として2020年度に使用する。実験内容は、同定された遺伝子やそのsiRNAをレンチウイルスベクターに組み込み、子宮内膜の初代培養細胞に形質導入し、その生物学的特性の変化を解析し、最も重要な遺伝子・pathwayを同定する計画の部分である。
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Research Products
(5 results)