2018 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of prevalence, clinical features and pathogenic mechanism of PDZD7 mutations which was identified as a novel gene causing nonsyndromic hearing loss
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18K19626
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Research Institution | 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター) |
Principal Investigator |
松永 達雄 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター), その他部局等, 部長 (90245580)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奈良 清光 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター), 聴覚・平衡覚研究部, 研究員 (40260327)
務台 英樹 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター), その他部局等, 研究員 (60415891)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 非症候群性難聴 / PDZD7遺伝子 / 次世代シークエンサー / PDZドメイン / USH2複合体 / アッシャー症候群 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は、原因不明の先天性を含む15歳以下で発症の両側性の非症候群性難聴患者130家系131人を解析し、PDZD7遺伝子変異を持つ家系を2家系見出した。 患者の末梢血よりゲノムDNAを抽出し、ターゲットリーシークエンス解析を行った。パネルには、PDZD7を含む難聴遺伝子154遺伝子を選び、各エクソン配列をRNAプローブとして領域を濃縮後、イルミナ社の次世代シークエンサーでDNA配列を決定した。得られた配列を、Fujikiらの方法によりヒト参照ゲノム配列にマップし、配列変化(バリアント)を抽出した。それぞれのバリアントについて、各種公的データベースの頻度情報・アミノ酸配列における病的変異のコンピュータ予測の結果・遺伝子の遺伝形式や症状の特徴を考慮し、候補バリアントを絞り込んだ。候補バリアントは、両親・兄弟などの検体と共に、サンガーシークエンス法によって確認した。確認したバリアントは、申請者自ら作成に参画した難聴用ACMGガイドライン(Oza et al. 2018)を用いて、病的意義を判定した。 見出された2家系は、共にPDZD7の同じミスセンスバリアントを持ち、一方はPDZD7の別のミスセンスバリアントとのコンパウンドヘテロ、もう一方はGPR98 (ADGRV1) 遺伝子のミスセンスバリアントとのdigenic(関連する遺伝子の変異が組み合わさることによる発症)であった。病的意義は今のところ不明であったため、今後証拠を増やすことが必要である。過去に見つかった2家系も含めた難聴者8人のうち、発症年齢については1人を除いて0-3歳であった。また、難聴の程度に関しては、難聴者8人中6人が中等度であった。この結果は、「PDZドメインの変異の特徴により、USH2複合体形成能の低下の度合いが異なり、難聴の程度と関連する」という、申請者の仮説を支持している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本人難聴者におけるPDZD7遺伝子変異の頻度と臨床像との関係の解明:当研究部に集積された難聴症例のDNA検体と臨床情報を用いて、以下の検討を行なった。 対象:原因不明の先天性あるいは15歳以下で発症の両側性の非症候群性難聴患者100人を予定していたが、132人の解析を行うことができ、予定を大きく上回った。 遺伝子解析:PDZD7遺伝子の全エクソンを次世代シークエンス法で解析し、変異の見つかった2検体については、サンガーシークエンス法で確認した。バリアントの病的意義は、2018年難聴用ACMGガイドラインに準拠した。遺伝学的情報を得るため、両親および兄弟計6名の遺伝子解析を実施した。過去の結果より、4家系のPDZD7を持つ家系を見込んでいたが、予想よりも少なかったため、さらに解析を行う必要があると考えられる。 臨床像の検討:PDZD7遺伝子変異が同定された4症例で、臨床情報(年齢、性、妊娠・出産時の難聴の発症要因あるいは危険因子、難聴の発症時期・程度・経過、合併症、家族歴、各種検査データ)を収集、検討した。 データ解析:申請前にすでに同定していた2家系4症例と合わせて、計4家系8症例について、日本人非症候群性難聴での本遺伝子変異の頻度(非症候群性難聴者家系のうちの約2%)を明らかにし、臨床的特徴を解明した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きPDZD7の変異を持つ家系を探索し遺伝学的なデータを収集すると共に、予定通り以下のin vitro実験を行い、分子生物学的データを得る。それらによって、「PDZドメインの変異の特徴により、USH2複合体形成能の低下の度合いが異なり、難聴の程度と関連する」という仮説を検証する。 日本人難聴者で同定されたPDZD7遺伝子変異による難聴の分子病態の解明については、日本人で同定されたミスセンス変異5種類(PDZD7: 4種類、GPR98: 1種類)について、野生型をコントロールとして、細胞実験で評価する。 細胞への遺伝子導入と発現については、ヒトPDZD7遺伝子、USH2A遺伝子、GPR98遺伝子、WHRN遺伝子を、目的に応じた組み合わせでHEK293細胞へ導入、共発現する。以下の測定を、異なるタグ抗体を用いたPull-down assayとWestern blotで行う。PDZD7蛋白とUsherin蛋白およびGPR98蛋白の結合については、変異がPDZD7蛋白とUsherin蛋白の結合に与える影響を、PDZD7蛋白とUsherin蛋白(およびGPR98蛋白)を共発現させた細胞溶解液で検討する。PDZD7蛋白のホモ二量体形成については、変異がPDZD7蛋白のホモ二量体形成に与える影響を、PDZD7蛋白のみを発現させた細胞溶解液で検討する。PDZD7蛋白とWhirlin蛋白のヘテロ二量体形成については、変異がPDZD7蛋白とWhirlin蛋白のヘテロ二量体形成に与える影響を、PDZD7蛋白とWhirlin蛋白を共発現させた細胞溶解液で検討する。
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Causes of Carryover |
必要な試薬購入代として残額が少なかったため次年度に繰り越し、今後有効に使用する予定である。
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[Journal Article] ClinGen Expert Clinical Validity Curation of 164 Hearing Loss Gene-Disease Pairs2019
Author(s)
DiStefano MT, Hemphill SE, Oza AM., Siegert RK., Grant AR., Hughes MY., Cushman BJ., Azaiez H, Booth KT., Chapin A, Duzkale H, Matsunaga T, Shen J, Zhang W, Kenna M, Schimmenti LA., Tekin M, Rehm HL., Abou Tayoun AN., Amr SS* on behalf of the ClinGen Hearing Loss Clinical Domain Working Group
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Journal Title
Genet Med
Volume: -
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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