2018 Fiscal Year Research-status Report
歯髄感覚機能再生に着目した歯髄再生法の分子基盤の解明
Project/Area Number |
18K19632
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
犬塚 博之 東北大学, 歯学研究科, 准教授 (20335863)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福本 敏 東北大学, 歯学研究科, 教授 (30264253)
齋藤 正寛 東北大学, 歯学研究科, 教授 (40215562)
清水 康平 東北大学, 歯学研究科, 助教 (70727073)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | p75NTR / タンパク質分解 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯科分野の再生医療研究において、骨・筋・神経細胞へ分化可能な歯髄幹細胞が注目されている。質の高い歯髄再生のためには、歯髄における神経細胞および軸索の再生とそれら軸索の歯髄への誘導を介した歯髄感覚の再生が重要であるが、歯髄幹細胞からの精度の高い分化誘導法確立のための詳細な分子機序が解明されるには至っていない。以上の背景から本研究では、歯髄幹細胞における、神経細胞分化誘導因子のタンパク質分解調節を介した効率的な歯髄内神経組織再生法の確立を目的とした。解析の対象として、神経細胞の分化・生存・軸索伸長の調節に必須の p75NTR シグナル伝達経路に着目し、(1) p75NTR タンパク質量的制御機構の解明、(2) p75NTR 分解調節を介した歯髄幹細胞からの神経細胞分化誘導法の開発、の研究項目を設定した。初年度は当初の研究計画に従いp75NTR タンパク質分解調節の分子機構を中心とした解析を行った。はじめにp75NTR とその候補E3ユビキチンリガーゼが細胞内でp75NTRのタンパク質不安定化領域を介して相互作用していることを免疫沈降で明らかとしたほか、細胞内でE3 リガーゼ発現抑制により内在性 p75NTR タンパク質が安定化すること、そしてp75NTR タンパク質の E3 依存的ポリユビキチン化を確認した。これら一連の生化学的解析により、p75NTR タンパク質がE3リガーゼによるポリユビキチン化を介して分解を受ける分子機構の一端を明らかにすることが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度目標として設定した、p75NTR の上流 E3 リガーゼによる p75NTR 蛋白質分解の分子メカニズムの解析において、タンパク質半減期の延長やポリユビキチン化誘導が示せたことから、良好な結果を得ることが出来た。特に、p75NTR 上の候補 E3 リガーゼ認識配列(デグロン)のマッピングにおいてクリアな解答が得られたことは、p75NTR が翻訳後修飾を介して分解を受けることの確証となるものである。
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Strategy for Future Research Activity |
p75NTR の野生型とデグロン変異体を歯髄幹細胞に導入して神経細胞分化誘導実験を行う。さらに、歯髄幹細胞解析のパイロット実験としてラット PC12 細胞及びヒト SH-SY5Y 細胞の p75 デグロン変異体導入株、そしてCRISPR/Cas9システムを用いた内在性 E3 ノックアウト細胞株を作製し、軸索突起の伸長を指標とした機能評価を行う。さらに、 p75NTR デグロン変異体安定発現歯髄幹細胞株を作製し、幹細胞未分化性維持と神経細胞分化に対する影響の評価を行う。
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Causes of Carryover |
(理由) 初年度の実験計画は分子生物学的・生化学的な解析が主であり、高額な消耗品の購入による物品費の使用を抑えることが出来た。 (使用計画) 次年度に計画している歯髄幹細胞の培養実験に係る購入経費(培地、血清、サプリメント、培養器具、遺伝子導入試薬等)に充当する予定である。
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