2018 Fiscal Year Research-status Report
バイオフィルム汚れ成長抑止のための量子論に基づくマルチスケール計算化学
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18K19662
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
畠山 望 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 准教授 (50312666)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 衛生工学 / 水回り / 超高速化量子分子動力学法 |
Outline of Annual Research Achievements |
バイオフィルムの成長では、分子レベルの目に見えない汚れが起点となる。分子スケールの計算には、独自に開発した超高速化量子分子動力学法(UA-QCMD)を用いた。基材として、鏡を想定したアモルファスシリカ、シンクを想定したステンレス、排水口に用いられるポリマーについて、それぞれ分子レベルのモデリングを行った。基材に吸着する流水物質については、重要とされる分子として尿石および尿素の基本物質に加えて、EPSと呼ばれるバイオフィルム細胞外高分子化合物に含まれる主要多糖類のアルギン酸、粘着物質として汚れに関わってくる生体由来タンパク質のアルブミンについてモデルを構築した。また、グランドカノニカルモンテカルロ法による独自開発のプログラムを利用して、水との競争吸着計算を行った。実スケールについては、動的モンテカルロ法に基づく独自プログラムを用いて、バイオフィルム成長の計算を開始した。バイオフィルムの内部あるいは基材との結合力に対して、水流によるせん断応力が強ければ剥離を促進して、成長を抑止するため、マクロスケールの水流解析が重要となる。そこで、実験に使われるフローセルをモデル化するなどして、現実を模擬する数値流体力学計算も開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、分子レベルにおける基材、吸着する基本物質、EPSの多糖類、生体由来のタンパク質のモデリングを行い、グランドカノニカルモンテカルロ法により水中での吸着挙動を解析した。さらに、次年度に予定していた実スケールの動的モンテカルロ法に基づく計算をすでに開始しており、マクロレベルの数値流体力学計算による検討も進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
分子スケールの計算では、基材に対する銀など抗菌元素の添加を考慮して、水中における吸着物質の挙動や乾燥時の脱水反応あるいは化学反応をUA-QCMDにより解析する。実スケールでのバイオフィルム成長・抑止解析および可視化は、基材表面の菌体を元に成長するバイオフィルムを粒子として表現して、動的モンテカルロ法に基づく独自プログラムを用いる。バイオフィルムの内部あるいは基材との結合力に対して、水流によるせん断応力が強ければ剥離を促進し、成長を抑止する。マクロスケールでは、実験に使われるフローセルをモデル化するなどして、現実を模擬する数値流体力学計算を行う。
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Causes of Carryover |
交付決定時期の関係で、予定していた人材を確保できず人件費を執行できなかったことが主な理由で、次年度使用額が生じた。次年度は、その分の人件費を執行する人材も確保しており、さらに研究を加速する計画である。
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Research Products
(4 results)