2020 Fiscal Year Research-status Report
周産期医療・看護に付加価値を創造するMBA教育の蓄積を活用した経営学的検証
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18K19679
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
齋藤 いずみ 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (10195977)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松尾 貴巳 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (80316017)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2022-03-31
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Keywords | 周産期 / MBA教育 / 産科混合病棟 / 看護の可視化 / 医療・看護の質 / 経営学 / 付加価値 / TDABC 時間主導型活動基準原価計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】病院における出産場所は、産科混合病棟で約8割が実施される。助産師の離職の多かったA病院の産科混合病棟において、我々は、情報通信機器を用い24時間43日間、看護行為と看護時間を測定し、当該病棟の看護特性を看護行為の種類と回数、看護職員のベッドサイド滞在時間を明らかにした。その結果、看護部長は根拠に基づき助産師の増員を実施し、看護管理者を変更した。変更前後における看護職員の職務満足の変化を明らかにすることを研究目的とした。【方法】離職の多かった2017年、改革後の2018年に、職務満足度調査を実施した。米国のスタンプが開発し山下が改変した看護職員満足度調査票を用い、同意を得た者のみが回答した。マンホイットニーのU検定を実施した。倫理審査を受け実施した。 【結果】約300床のA総合病院の産科混合病棟(42床)を対象とした。消化器外科、眼科、産科など約10診療科から構成され、産科病床は8から12床で運用されていた。2017年、2018年の、年間分娩数は211件・249件、勤務者は、常勤(助産師5名・看護師22名)パート助産師7・常勤(助産師9名・看護師21名)パート助産師7であった。職務満足度の平均値が有意に上昇した項目は25項目中8項目であった。中でも看護の質に関連すると思われる内容は、「環境・労働時間などの条件は良い」2017年(1.91±1.04)、2018年(3.06±0.88)P値(0.00)、「私がやりたいと思っているような患者ケアをするために時間が足りている」(1.87±0.87)(2.84±0.92)P値(0.00)であった。【考察】看護行為・看護時間を可視化し示したことで当該病棟の看護の特性が明らかになり、看護職員の増加の根拠となった。実力ある看護管理者に変更した相乗効果で、職務満足度を上昇させることができたと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
神戸大学の特徴を生かしオール神戸大学で助産師の教育を実施している。わが国最初の経営学部日本を代表するMBA コースである経営学研究科と協働し、助産師教育と研究に活用し、助産管理学の一部を経営学研究科の教授が担当するという画期的試みが進行中である。2018年度からMBAコース講義への参加 以下の内容がMBAで開始した。文部科学省 課題解決型高度医療人材養成プログラムである本事業は文部科学省平成29年度大学教育再生戦略推進費「課題解決型高度医療人材養成プログラム」に採択された事業です。本事業では働きながら、プロジェクト方式で、研究に基礎をおく教育を提供する神戸大学MBAと医学部附属病院がタッグを組んで開発、提供するものである。管理者のための管理会計を、病院の業績管理会計、病院の経営分析コスト分析、病院の人的資源管理御関連知識を識を助産管理学研究に応用活用開始して順調に進行している。 目的として、産科混合病棟の可視化・分析に管理会計の手法を導入前後の効果を比較する。方法は共同研究の開始前は、産科混合病棟の看護行為・看護時間のタイムスタディ、病棟管理日誌からの患者数・勤務者・看護必要度などであった。共同研究の開始後は、産科混合病棟の看護行為・看護時間のタイムスタディ、病棟管理日誌からの患者数・勤務者・看護必要度、看護の職務満足度(山下美根子)、日本語版NWI-R(小林美亜)、分析に管理会計理論手法の導入 以上に加え、「混雑のコスト(cost of congestion)」の考え方、上記についての実証的な証拠の提出は(Banker et al. 2014; 高橋他 2016),不確実性下での固定費化の促進という通説と反する結果を導出したばかりか,配賦の適切性や未利用のキャパシティのあり方についての広範な議論のきっかけとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
管理会計学的側面からアプロ―チする意義を推進する部分に残りの一年間を使用する。産科混合病棟の現状および、分娩を取り巻く状況についてこれまで論述してきたが、これまで筆者は、ほとんど可視化されてこなかった周産期の看護時間や分娩期の看護行為と看護時間、そして産科混合病棟における看護行為と看護時間を、客観的に測定・観察をしてきた。しかし、これまでの分析を振り返ると単に測定し、統計学的に有意差があるか否を論じたにとどまっていたように思う。すなわち、そのような現象を起こしている医学・看護学の要因については分析したが、たとえば病棟の忙しさなどは、一般社会においても医学的特殊性という要因以外では、一般化できるものではないかと考えた。 看護時間の研究をしていくうちにTDABC時間主導型活動基準原価計算の存在を知りえた。まさに「時間」を対象とする研究は、管理会計分野ですでに実施されているこの理論を応用できるのではないかと考え取り組んでいる。産科混合病棟の特徴は、内科・外科・婦人科・小児科などたくさんの診療科の一つとして産科が存在するということである。たとえば、筆者がフィールド調査に通うA病院では、がん拠点病院であり、地域周産期母子医療センターであるため、がん患者の急変重症化や死亡と、分娩という、いつ入院してくるか予測の困難な状況の患者と、複数の重篤な要因が絡み、いったん分娩と死亡が重なると大変危機的状況となる。そのようなときに、「混雑コスト」という概念がある事を知った。そこで、助産師の齋藤が長年携わってきた「産科混合病棟」の分析に、これらの管理会計学的理論を背景とした分析に活用できると考え、産科混合病棟を会計学の理論を用いて分析することを今後の最も重要点として取り組む。
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Causes of Carryover |
コロナ禍による影響のため、調査フィールド病院及び調査大学内での活動が不可能であったため延期することが必要になったため、2021年度に実施予定である。一部遠隔会議システムを用いフィールドの調査を開始している。
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