2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of treatment with postoperative delirium for elder based on pathophysiological mechanism.
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18K19680
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
大西 新 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 特任教授 (00507014)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | セロトニン / 前頭葉 / 線条体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は術後せん妄モデルマウス作成法を確立し、当該モデル動物の脳内モノアミン量と認知機能について評価を行った。本研究で用いたモデル動物は肝臓の一部を切除し術後せん妄を再現するモデルであるため、熟練した実験技術が必須である。本年度は手術技術の向上を行い当該モデルを80%以上の確率で作成ることが出来るようになった。肝臓的術後3日目に認知機能の一つであるSensory motor gating をプレパルスインヒビションテストによって評価した結果、大きな差は見られなかった。次に、前頭葉、海馬及び線条体におて、認知機能に深く関与していると考えられているモノアミン及びそれらの代謝産物濃度濃度を測定した。マウスの肝臓摘出手術後、4日目に脳をサンプリングしドーパミン、セロトニン、ノルアドレナリン及びそれらの代謝産物である、DOPAC, HVA, 5HIAA, MEPGを高速液体クロマトグラフィーによって測定した結果、前頭葉、線条体におしてセロトニンの代謝産物である5HIAA濃度がコントロールマウスにくらべ上昇傾向であることが明らかになった。セロトニンはシナプスから放出されると速やかに代謝酵素によって代謝されることから、5HIAAの上昇は手術後、間もなくセロトニン分泌が過剰になる可能性を示唆している。セロトニンの過剰伝達はせん妄の重要な精神症候の一つである幻覚や不穏に深く関与していること考えられていることから、今回の研究結果は、術後せん妄の病態メカニズム解明の足掛かりになるのではないかと予想される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度後半にコロナが蔓延し、研究室が閉鎖されている期間があったため一部の実験が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、老化促進マウス(SAMマウス)に肝臓摘出手術を行い脳内モノアミンの機能を詳細に調べる予定である。この研究により老化と術後せん妄の関係が明らかになるのではないかと予想される。
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Causes of Carryover |
コロナの影響で一部の実験計画が遅延したため。
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