2019 Fiscal Year Annual Research Report
Protective effects of traditional food on cadmium toxicity
Project/Area Number |
18K19700
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
堀口 兵剛 北里大学, 医学部, 教授 (90254002)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | カドミウム / 大豆 / 味噌 / ラット / 肝障害 / 腎尿細管障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本の伝統的な食材の代表である大豆がカドミウム(Cd)の毒性を軽減する作用を持つ可能性を検討するために、大豆と味噌を混合した飼料で飼育したラットにおいて、Cdの急性肝障害と慢性腎毒性を観察した。そのために、大豆を素材としてまったく使用していない対照飼料、それに大豆を混じた大豆飼料、さらに味噌を混じた大豆・味噌飼料の3種類を飼料会社に注文して作成した。 7週齢のメスのWistar ラットを各飼料群により1週間飼育した上で、生理食塩水あるいはCdCl2水溶液をCdとして6、8、10 mg/kgで1回皮下投与し、24時間後の死亡率を観察した。Cd 6、8 mg/kg投与群ではラットはほとんど死亡しなかったのに対し、10 mg/kg投与群の死亡率は、対照飼料群で31.8%(n=22)、大豆飼料群で28.6%(n=21)、大豆・味噌飼料群で22.7%(n=22)であった(統計学的に有意ではない)。また、Cd 6 mg/kg投与群では大豆飼料群と大豆・味噌飼料群の血漿中GOT・GPT濃度は対照飼料群と比較して上昇の程度が低い傾向が見られた(統計学的に有意ではない)。以上より、大豆や味噌の摂取によりCdの急性毒性が若干抑えられることが示唆された。 また、ラットを3種類の飼料で飼育しながら生理食塩水あるいはCdCl2水溶液(2 mg/kg)を週に1回3ヶ月・5ヶ月皮下投与して腎尿細管機能を24時間尿中NAG量で観察した。Cd投与により尿中NAG量は増加したが、大豆飼料群と大豆・味噌飼料群のそれは対照飼料群よりも低くなっており、その傾向は3ヶ月後よりも5ヶ月後の方で強くなった(統計学的に有意ではない)。以上より、大豆や味噌の摂取によりCdの慢性腎毒性が若干抑えられることが示唆された。
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Research Products
(6 results)