2018 Fiscal Year Research-status Report
がんサバイバーシップ支援の社会実装に関する研究:エビデンスの地域展開に向けて
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18K19717
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
高橋 都 国立研究開発法人国立がん研究センター, がん対策情報センター, 部長 (20322042)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | がん / サバイバーシップ / コミュニティ / 非営利団体 / 健康増進 / 情報収集 / 地域連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、がん患者や高齢者等を対象として、地域で活動する4か所の支援組織の見学(首都圏1、石川県2、岩手県1)およびヒアリングを実施した。また、支援活動の実際や関連業界の実情を理解する目的で、がん患者・高齢者向け地域支援組織を運営する医療者1名、社会福祉団体(就労支援)代表1名、スポーツジム関係者1名のヒアリングを実施した。見学およびヒアリングにおいては、組織の歴史や立ち上げの背景、運営上留意していること、がん患者向けサービス展開の可能性、医療機関等との連携等について重点的に聞き取りを行った。
運営上の留意点やがん患者向サービスのアイデアに関して、「がん患者に特化しない場所や活動でも、多様な背景を持った利用者が交流することで互いが刺激を受ける」「うまくいっている支援活動はマニュアルを作成して公開し、広く活用してもらうようにしている」「社会に役立つという根拠は数字で示すが、研究者はその指標づくりに参加できるだろう」「相談窓口はトピックによって細分化せず、よろず窓口のほうが良い」「運動プログラムでは、シニア向けやマタニティ向け企画をがん患者にも応用できるのではないか」等の意見が挙げられた。
次年度は見学・ヒアリング対象を広げ、地域で活動するがん患者向けサービスの可能性を検討するとともに、医療機関との連携のありかたを考察する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、大都市および地方在住のがん患者・サバイバーを対象として、健康づくりや情報収集に向けて地域(医療機関外)でどのような資源を活用しているかを明らかにするフォーカスグループ・インタビューを計画していた。しかし、インタビューガイドを作成するプロセスで数名のがん患者に事前ヒアリングをしたところ、実際に地域の支援組織等を活用した経験がなければ質問に答えにくいという意見が寄せられた。それを受けて、がん患者が実際に活用した地域資源(NPO等の団体や専門職)の活動見学と関係者のヒアリングに重点を移し、どのような地域資源ががん患者に資する活動を提供する可能性があるか、明かにすることとした。その方向転換の意思決定に時間を要したため、研究の進捗は当初の計画よりもやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
地域で活動し、がん患者もサービス対象に含む団体や専門職を対象として、見学と関係者ヒアリングを継続し、サービス内容や運営方針、対象者の選定、医療機関との連携への要望等について明かにする。その結果に基づき、地域で活動する団体や専門職と医療機関が、がん患者に向けた支援提供においてどのように連携する余地があるか、その連携可能性を考察する。
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Causes of Carryover |
当初予定していたフォーカスグループインタビューを取りやめたこと、また見学・ヒアリング対象となる地域の支援組織の選定に時間を要し、初年度の見学件数が少なかったことによる。次年度は、初年度に実施した支援組織関係者からの紹介や文献レビュー等を通じて、がん患者や家族が地域で活用できる支援組織の見学とヒアリングを継続して実施し、治療機関の医療者との連携の在り方や、患者・家族らへの広報戦略について考察する。
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