2020 Fiscal Year Research-status Report
習慣的多量飲酒による大腸疾患のリスク増大への腸内細菌の関わり
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18K19721
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中山 亨 東北大学, 工学研究科, 教授 (80268523)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大平 英夫 神戸学院大学, 栄養学部, 准教授 (40351762)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2022-03-31
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Keywords | 飲酒習慣 / エタノール / 大腸がん / 腸内細菌 / 酸化ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き,マウスへのエタノール継続投与が及ぼす結腸傷害と炎症反応,特に酸化ストレス誘導への影響について調査し,腸内細菌叢への影響についてモニターした.SPFレベルの雄マウス(8週齢)につき,10週間にわたりエタノールを慢性投与した.エタノール投与群は, 毎日1回1 ml の1.5% (vol/vol) EtOHを経口投与する群(EtOH 1.5%群;0.5~0.6 g/kg/day)と,毎日1回1 ml の5.0% (vol/vol) EtOHを投与する群 (EtOH 5.0%群;1.7~2.0g/kg/day)であった.昨年度は, 1.5% EtOH投与群で結腸組織の損傷,結腸組織における酸化ストレスマーカーレベルの上昇,炎症性サイトカインmRNAレベルの上昇,炎症性免疫細胞数の変化,AGEやRAGEのレベル増加を観察した.今年度は,これらのマウス糞便の菌叢構造をエタノール慢性投与群と対照群とで比較した.その結果,糞便中のOTUに基づく菌種数の多さを表すα-多様性はエタノール投与群と非投与群で有意な差がなかった.菌叢構造のβ-多様性にもとづくエタノール投与群特異的なクラスタリングも認められなかった.EtOH 1.5%群ではFirmicutesが対照群と比較して優位に減少し,EtOH 1.5%群とEtOH5.0%群ではDeferribacteresが対照群と比較して優位に減少していた.一方,EtOH 1.5%群とEtOH5.0%群では, それぞれBacteroidetes とProteobacteriaの存在比が有意に増加していた(各投与開始5週目).こうした糞便菌叢構造変化は,ヒトにおけるアルコール依存症患者の糞便菌叢構造変化よりはIBD患者の糞便菌叢構造変化に類似していた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
短期間のエタノール慢性投与のマウスの結腸組織や糞便菌叢構造への影響が初めて明らかになった.
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Strategy for Future Research Activity |
抗酸化剤の同時投与が,短期間のエタノール慢性投与によるマウスの結腸組織の変化や糞便菌叢構造の変化に対してどのような影響を与えるかを明らかにする.
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Causes of Carryover |
菌叢構造解析の統計解析部分を外注せずに自前で行うことにより経費を節減した.これにより次に予定される研究計画の遂行のための資金を十分に確保することができた.
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Research Products
(1 results)