2018 Fiscal Year Research-status Report
脳活動と機能的ネットワークに基づいたスポーツ脳振盪の病態解明と競技復帰基準の構築
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18K19725
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
室井 愛 筑波大学, 医学医療系, 講師 (10709215)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸島 愛樹 筑波大学, 医学医療系, 講師 (40722525)
鎌田 浩史 筑波大学, 医学医療系, 講師 (60518801)
松下 明 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 講師 (80532481)
五月女 康作 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特任研究員 (80608795)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | スポーツ脳振盪 / 脳振盪後遷延症状 / 微小出血 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳振盪は頭部打撲後の一過性の神経機能障害と定義され多彩な症状を呈するが、その病態は未だ明らかになっていない。臨床的な回復と生理学的な回復には時間的乖離があるとされており、症状の消失のみで競技復帰時期の判断を行うことは、早すぎる競技復帰による症状の悪化や症状遷延をきたす危険性がある。本研究の目的は、脳振盪における臨床的評価および酸化ストレス度解析やMRIによる脳の機能的ネットワーク解析などの複合的な評価を行うことによって、特にスポーツ関連脳振盪の病態解明と安全な競技復帰基準の構築を行うことである。 2018年はスポーツに関連した脳振盪患者において、sports concussion assessment toolなどを用いて自覚症状、平衡機能検査を行い、眼球運動評価、高次機能検査などの臨床的評価および、MRIを用いた器質的異常の評価を行った。そのうち受傷後4週間以上症状が遷延する症例においては継時的に評価を行い、症状悪化のリスクファクターとして脳実質内の微小出血や早期の競技復帰などがあることを明らかにした。 脳振盪患者における運動による症状の変化について、同じく臨床的指標を用いて評価を行った。症例数がまだ少ないため統計学的な結果を得るには至っていない。 スポーツ脳振盪では頭痛、頚部痛、平衡機能障害、眼球運動障害、不眠、感情障害、高次機能低下など分野が多岐にわたるため、様々な領域の評価が必要なため、脳神経外科、整形外科、リハビリテーション、アスレティックトレーナー、臨床心理士などとともに、学際的な評価方法の確立を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
多分野にわたる臨床的な評価方法や手順は確立でき、臨床的指標のデータは蓄積できている。安静時機能的MRIの最適な撮像方法についての検討に時間を要したため実際のMRIはまだ撮像できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
スポーツ脳振盪において確立した臨床的な評価方法を用いてデータを蓄積する。診療や評価のシステムは確立できているため、症例の登録を進めていく。安静時機能的MRIに血液サンプル採取、NIRSによるデータ取得を行う。十分な数のデータ取得後は脳機能ネットワークの解析と酸化ストレス度測定を行い、症状遷延のリスクファクターや回復の指標を検索する。症例数の増加により統計学的な解析が可能となると考えられる。
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Causes of Carryover |
コントロール群や解析が必要なMRIのデータ取得をまだ行っておらず、予算として計上した被験者への謝金や研究補助への人件費を使用していないため、繰越金が生じた。翌年度は症例登録が増える予定であり、計上した謝金などを使用する予定である。
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Research Products
(6 results)