2019 Fiscal Year Research-status Report
協調運動学習下の脳活動解析に基づく運動学習支援エージェントの最適化
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18K19732
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
近藤 敏之 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60323820)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | 協調運動学習 / ロボット |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は,本研究の最終的な目的である効果的なロボットリハビリテーションへの応用を鑑みて,二者協調運動学習系における一方の操作者をロボットエージェントとするためのエージェントアルゴリズムの開発に注力した.前年度までに実施した人間の二者による協調運動学習実験の研究成果から,熟練度が等しく劣る初心者ペアによる協調運動学習の経験が,事後の運動学習に良い効果をもたらすことが明らかになっていることから,ロボットエージェントのアルゴリズムとして初心者と熟練者の二種類を設計した.また,人間同士のペアで訓練を行う場合は,学習を繰り返すにつれて互いに熟練度が変化(向上)していくと考えられることから,学習者の熟練度レベルを協調運動学習課題の成績で評価し,そのレベルに基づいて,ペアとなるエージェントの熟練度レベルを階段法により調節する,スキルレベル調節アルゴリズムを開発した. スキルレベル調節アルゴリズムの有効性を検討するため,被験者24名に協力頂いて実験を行った.被験者は無作為に8名ずつの3群に分けられ,それぞれ初心者,熟練者,スキルレベル調節エージェントと組んで協調運動学習を行った.また協調運動学習の前後には,運動技能を評価するため,単独による運動課題を実施した.協調運動学習前(Baselineフェーズ)の単独課題の成績をグループ間で比較した結果,有意差は認められなかった.一方,協調運動学習後(Testフェーズ)の単独課題の成績についてグループと学習セット数を要因とする分散分析を行った結果,交互作用は認められず,両要因ともに主効果が認められた.グループについて事後分析を行った結果,スキルレベル調節エージェントと組んだ群の成績が最も優れており,次に初心者エージェント群が続き,熟練者エージェント群が最も悪い成績となった.この結果は,IEEEの国際会議EMBC2020に投稿中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者が5ヶ月間渡英した影響で研究の進捗が心配されたが,研究協力者の貢献により,協調運動学習システムの開発,ロボット制御アルゴリズムの開発,24名を対象とした被験者実験の実施,などを行うことができ,2019年度はおおむね順調に研究が進展した.一方,研究成果の対外発表,論文執筆の準備が不十分であると考えており,研究期間を延長して取り組む予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
被験者24名による実験の結果から,本研究の実験仮説を裏付ける結果が示唆されていることから,国際会議で口頭発表して議論を深めるとともに,論文としてまとめ国際学術論文誌に投稿する.
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Causes of Carryover |
研究代表者が,2019年4月25日より9月16日までの約5ヶ月間,科研費国際共同研究強化の支援を受けて英国・レディング大学にて国際共同研究を推進したことから,当初計画していた実験用ロボットの設計とシステム開発に関する研究計画に遅延が生じたため研究期間を延長することとした. 2020年度は,すみやかに追加実験と解析を行い,論文投稿することで論文掲載費として支出する予定である.
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Research Products
(5 results)