2018 Fiscal Year Research-status Report
機械学習を用いたスギ舌下免疫療法に最適な鼻腔細菌叢モデル作成
Project/Area Number |
18K19734
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
藤枝 重治 福井大学, 学術研究院医学系部門, 教授 (30238539)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二之宮 貴裕 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 医員 (30796199)
野口 恵美子 筑波大学, 医学医療系, 教授 (40344882)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 舌下免疫療法 / マイクロバイオーム / バイオマーカー / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本の国民病と言われているスギ花粉症において、唯一治癒(根治)が望める治療は、毎日スギアレルゲンを舌下する舌下免疫療法である。現在、舌下免疫療法は保険適応になっているが、なかなか施行する患者は増えていない。その最大の問題点は、治療を1年~2年間行わないと、その治療効果がわからないからである。すなわち、舌下免疫療法施行前には、これから舌下免疫療法を行う患者が効果のある群(応答群)なのか効果がない群(非応答群)なのかがわからないのである。もし仮に舌下免疫療法を行う前に、応答群か非応答群かを判別できればその意義は極めて高い。 そこで2015年、2016年にスギ花粉症舌下免疫療法を開始した患者200名を登録し、舌下免疫治療前後の症状スコア・薬物スコア等の臨床データを取得した。それを基に舌下免疫療法の応答性を判定した。次に舌下免疫療法応答群と舌下免疫療法非応答群、合計約100名から治療前口腔内サンプルを採取した。採取した検体から細菌由来DNAを抽出し、ラ イブラリを作成し、次世代シークエンサー(Miseq)にて16S rRNA領域のシークエンスを行った。得られた塩基データは解析ソフトQIIME・Metagenome@KINを用いて解析を行い、細菌叢の種レベルまで系統分析を行った。 解析の結果、治療効果と関連のある菌種Aを同定した。同定した菌種Aは、スギ花粉症舌下免疫療法への治療効果を認める群では、非応答群と比較してその存在が有意に異なっていることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今までの解析にて、治療応答性と関連のある菌種をいくつか同定している。それらの菌種をバイオマーカーとすることで、スギ花粉症舌下免疫療法に対する治療応答性を予測できる可能性が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、得られた臨床データおよび細菌叢データをもとに、機械学習モデルによる「治療効果予測モデル」を作成する。Google社ソフトウェアTensorFlowをモデルとしたShankarらの機械学習の手法を用いて解析する。モデル構築はElastic net with cross-validationを基にして、ベイズの定理に基づく推理アプローチにより行う。解析を行った100名のサンプルを2群に分け、サンプルの半数(n=50)を用いて予測モデルを構築し、残りの半数(n=50)を用いて予測精度の検証を行う。
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Causes of Carryover |
得られた臨床データおよび細菌叢データをもとに、機械学習モデルによる「治療効果予測モデル」を作成するのに、Google社ソフトウェアTensorFlowが必要となる。またモデル構築のためにソフト、およびソフトの改良に費用がかさむことが判明したため、1年目は予算を残し、2年目に回すようにした。
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Research Products
(6 results)