2019 Fiscal Year Research-status Report
中性脂質に対する高感度ハイスループット定量法の開発と動脈硬化予防への臨床応用
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18K19736
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
森田 真也 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (20449870)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 義人 滋賀医科大学, 医学部, 客員助教 (40736980) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | 中性脂質 |
Outline of Annual Research Achievements |
中性脂質(アシルグリセロール)は、グリセロールに脂肪酸がエステル結合した構造をしている。その脂肪酸鎖の数によりモノアシルグリセロール・ジアシルグリセロール・トリアシルグリセロールと分別される。これらの中性脂質は、エネルギー源としての役割に加え、さまざまな膜タンパク質の活性や局在を調節し、細胞内シグナル伝達において重要な役割をしている。しかし、それぞれの中性脂質(モノアシルグリセロール・ジアシルグリセロール・トリアシルグリセロール)に対する高感度かつハイスループットな定量法は存在しなかった。本年度は、モノアシルグリセロールに対する定量法の開発に取り組んだ。定量法について条件検討を繰り返した結果、モノアシルグリセロール濃度に対して高い直線性を有する検量線を得ることができた。そして、検出限界として10ピコモル程度までのモノアシルグリセロールを定量することが可能となった。この開発した定量法は、測定対象とするモノアシルグリセロールに対して特別な標識が必要でなく、様々な実験系で利用できる。そこで、本定量法を培養実験に利用できるか、妥当性について検証を行った。培養細胞(HEK293細胞)の抽出脂質サンプルに既知量のモノアシルグリセロールを加える添加回収試験において、添加したモノアシルグリセロールを100%近く定量することができた。また、細胞抽出脂質サンプルの希釈試験を行ったところ、希釈率に比例してサンプル中のモノアシルグリセロール濃度が低下し、非常に高い直線性が得られた。これらの結果より、培養実験における本モノアシルグリセロール定量法の妥当性を確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、新規の中性脂質定量法の確立を目標としている。今年度は、その中性脂質の中でモノアシルグリセロールの定量法の開発に取り組み、モノアシルグリセロールの高感度かつ高精度な定量が可能となった。本定量法に関して、培養細胞実験に応用可能であることを確認したが、さらに動物実験や植物・微生物実験を含む生命科学研究全般に利用されることが期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、中性脂質定量法としてジアシルグリセロールとトリアシルグリセロールに対する定量法も開発し、さらに高感度かつ高精度となるように改良していく。そして、これらの定量法を、培養細胞実験や動物実験に利用し、中性脂質代謝異常が関わる肥満や動脈硬化の分子メカニズムを明らかにしていく。また、中性脂質(モノアシルグリセロール・ジアシルグリセロール・トリアシルグリセロール)の血中濃度測定法を確立させ、中性脂質と各種疾患との関係の解明を目指す。
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Causes of Carryover |
(理由)実験計画が比較的順調に進み、試薬選別段階で困難が生じずに実験を進めることができ、試薬の購入額を減らすことができたため。 (使用計画)主に実験試薬や実験器具類の購入のための消耗品費として使用する。
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