2020 Fiscal Year Research-status Report
中性脂質に対する高感度ハイスループット定量法の開発と動脈硬化予防への臨床応用
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18K19736
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
森田 真也 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (20449870)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 義人 滋賀医科大学, 医学部, 客員助教 (40736980) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2022-03-31
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Keywords | 中性脂質 |
Outline of Annual Research Achievements |
中性脂質(アシルグリセロール)は、グリセロールに脂肪酸がエステル結合した構造をしている。その脂肪酸鎖の数によりモノアシルグリセロール・ジアシルグリセロール・トリアシルグリセロールと分別される。これらの中性脂質は、血漿中ではカイロミクロンや超低密度リポタンパク(VLDL)、低密度リポタンパク(LDL)、高密度リポタンパク(HDL)などのリポタンパクの構成成分である。これらの中性脂質は、エネルギー源として生命の維持に必要不可欠な役割を担っている。しかし、それぞれの中性脂質(モノアシルグリセロール・ジアシルグリセロール・トリアシルグリセロール)に対する高感度かつハイスループットな定量法は存在しなかった。本年度は、各血漿リポタンパク(VLDL、LDL、HDL)に含まれる各中性脂質を定量するための迅速血漿リポタンパク超遠心分離法を構築した。この方法では、2mLの血漿を用い、溶液の密度を変えて超遠心を繰り返すことにより約7時間でVLDL、LDL、HDLを分離することが可能となった。分離した各血漿リポタンパクVLDL、LDL、HDLの粒子径を動的光散乱法により測定したところ、それぞれ約40nm、約20nm、約12nmであることが示され、分離法として適切であることが確認された。本血漿リポタンパク分離法は、血漿中に含まれる中性脂質の測定において役に立つことが期待される。また、モノアシルグリセロール酵素蛍光定量法の特異性について、様々な脂質分子種を用いて詳細な確認を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、血液中の中性脂質濃度測定を確立することを目標としている。今年度は、そのための各血漿リポタンパク(VLDL、LDL、HDL)の迅速超遠心分離法を構築した。このリポタンパク分離法は、コレステロールやリン脂質の定量にも応用でき、生体内における脂質代謝解析や疾患マーカーの検討において有用であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、中性脂質定量法を、生化学・分子生物学、薬理学・生理学的な基礎研究実験に利用し、中性脂質代謝異常が関わる肥満や動脈硬化の分子メカニズムを明らかにしていく。また、各血漿リポタンパク(VLDL、LDL、HDL)の中性脂質(モノアシルグリセロール・ジアシルグリセロール・トリアシルグリセロール)測定を進めることで、中性脂質と各種疾患との関係の解明を目指す。
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Causes of Carryover |
(理由)コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急事態宣言等により、一時期、実験活動が制限されていた。また、試薬選別段階で困難が生じずに実験を進めることができ、試薬の購入額を減らすことができたため。
(使用計画)主に実験試薬や実験器具類の購入のための消耗品費として使用する。
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Research Products
(8 results)