2018 Fiscal Year Research-status Report
A novel anti-allergic property by food factor possessing high affinity lectin-like protein against IgE
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18K19741
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
水野 雅史 神戸大学, 農学研究科, 教授 (00212233)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | フコイダン / ガレクチン9 / アレルギー抑制 / イムノグロブリンE / 肥満細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
OVA誘導アレルギーモデルにおいて、F-フコイダンの投与により直腸温度の低下が緩和され、またその低下した体温からもとの体温に戻るまでの回復時間も短縮された。さらに、大腸上皮細胞におけるガレクチン9 mRNA発現量が、F-フコイダン投与により増加した。一方、小腸上皮細胞およびその他の器官におけるガレクチン9 mRNA発現量については、F-フコイダン投与による影響は見られなかった。これらの結果から、経口投与されたF-フコイダンは小腸で消化されることなく大腸に達し、大腸上皮細胞に発現している受容体を介してガレクチン9の分泌を促進していることが予測された。また血中総IgE量およびOVA特異的IgE量についても、F-フコイダン投与により変化しなかった。これらの結果から、アレルゲンによって血中IgE含量が上昇した環境下に陥ったとしても、F-フコイダンが抗原感作後、大腸上皮細胞からのガレクチン9産生を促進することで肥満細胞の活性化を抑制し、アレルギー症状を抑制できることが示された。一方、T84細胞とRBL-2H3からなる共培養系においては、T84細胞の分化が予定通りに進まず、培養条件を検討しているところである。 さらに、本研究の遂行中にフコイダンが有する抗アレルギー活性が、温度によって影響を受けることを見い出したので、今後熱分解によるフコイダンの立体構造変化を明らかにすることでフコイダン認識受容体の探索に結びつけたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
T84細胞の場合は、Caco-2とRBL-2H3との共培養系と同じ条件では上手くいかないことが分かったので、RBL-2H3の感作方法やチャレンジ方法を検討しているところである。一方T84に関しては、ガレクチン9遺伝子は持っていることは確認できたので、フコイダン刺激によりガレクチン9 mRNA発現が誘導されるかどうかを確認することで、T84細胞とRBL-2H3細胞との共培養系を構築していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
フコイダン投与によるガレクチン9分泌が炎症性腸疾患にも効果があるかどうかをDSS誘導腸炎モデルマウスを用いて明らかにする。具体的な炎症誘導方法は既に確立しているので、フコイダンの投与量や投与時期を検討することで、効果を明確にできると考えている。一方、アレルギー抑制に関してはフコイダンの投与時期をOVA感作後から開始することで、ガレクチン9分泌促進の意義をさらに検証していく予定である。また、OVA感作系ではなくTNP-IgEマウスを用いても、同様に抑制機作の解明を進める計画である。
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Causes of Carryover |
研究実績の概要でも述べたが、フコイダンを認識する受容体を探索するためにこれまで使用してきたCaco-2細胞にはガレクチン9の遺伝子が存在しないため、この遺伝子を有しているT84細胞を用いて、T84/RBL-2H3からなる共培養系の構築を計画していた。しかしながら、T84細胞の増殖が予想以上に上手く行っておらず当初の予定通り進んでいないため、今年度使用額の一部を次年度に繰り越すことにした。
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