2020 Fiscal Year Research-status Report
A novel anti-allergic property by food factor possessing high affinity lectin-like protein against IgE
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18K19741
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
水野 雅史 神戸大学, 農学研究科, 教授 (00212233)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2022-03-31
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Keywords | アレルギー抑制 / フコイダン / Toll-like receptor 9 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、我が国において花粉症を始めとするⅠ型アレルギーの発症率は、年々増加の一途をたどっている。これまでにマコンブに含まれるコイダンを経口摂取した時にのみIgEとの親和性が高いガレクチン9(Gal9)が血中に分泌されⅠ型アレルギーが抑制されることを明らかにした。しかしながら、コンブには健康被害を及ぼすヒ素(乾物重当たり約53mg)が含まれており、過剰にコンブを摂取することは健康面からすると問題である。そこで本研究では、フコイダンと同時に摂取することでアレルギー抑制効果を増強させる食品を探索し、それに含まれる有効成分をポリフェノール類を中心に同定することでアレルギー予防が期待できるポリフェノールカクテルを選定し、Ⅰ型アレルギー予防に貢献できる食品の食べ合わせを探索した。その結果、野菜類ではネギおよびタマネギに、藻類ではノリからの抽出物に増強効果が認められた。そこで活性が認められた野菜とそうでない野菜類中の各ポリフェノール類を比較したところ、ポリフェノールカクテルの候補としてはケルセチンやケンフェロールなどのフラボノール類が見出され、それらを豊富に含んでいる豆苗やオクラが列挙された。一方、ノリ抽出物にも同様の相乗効果を示すことが本研究の一環から見出されたが、フコイダンとは全く違った抑制機構を介することによって抗アレルギー効果を相乗効果に示していることが明らかとなった。 一方、フコイダン受容体については、トル様受容体9(TLR9)とScavenger receptor(SR)が挙がってきたので、どちらが候補受容体かを確定するまでには至らなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
T84細胞とRBL-2H3からなる共培養系の構築を想定していたが、両細胞の同時培養には解決しないといけない点が多いようである。すなわち、T84細胞から分泌される成分によるRBL-2H3細胞増殖の影響、逆にRBL-2H3細胞が分泌する成分によるT84細胞中のタイトジャンクションへの影響などが明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
共培養系での効果に着目してきたが、フコイダン受容体に対して2種類の受容体が想定されたので、T84細胞単培養系を用いて受容体の確認を予定している。TLR9あるいはSRをノックダウンしたT84細胞をsiRNAを用いて作成し、フコイダン刺激によるガレクチン9分泌への影響を確認することで、フコイダン受容体を明確にする。
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Causes of Carryover |
次年度使用が生じた最も大きな理由は、新型コロナによる実験従事時間が十分でなかったことである。そのような状況下においても、フコイダン受容体の候補が2つ見つかってきたのでそれら2種類の受容体に関して研究を進めていく予定である。具体的な内容は、先の推進方策にも記載したが、それぞれの受容体をノックダウンした細胞の構築、さらに候補受容体ノックアウトマウスを用いた実験により、フコイダン受容体の同定を予定している。
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