2019 Fiscal Year Research-status Report
食素材たんぱく質の全網羅ペプチドアレイを用いた新規苦味マスキング剤探索法の開発
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18K19753
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
伊藤 圭祐 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 准教授 (40580460)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | 苦味マスキング / ペプチド |
Outline of Annual Research Achievements |
食品には様々な機能成分が含まれ、それらの継続的な摂取により健康維持や増進が期待できる。我が国における食品機能成分の利用は特定保健用食品(トクホ)や機能性表示食品のような国の制度によっても後押しされ、市場規模は拡大し続けている。しかしその一方、「良薬口に苦し」と言われるように、ポリフェノール等の多くの食品機能成分は好ましくない苦味を呈する。いかに健康に良いことが分かっていても、ヒトはおいしくない食品を日々の生活の中で食べ続けることはできないことから、実生活の中で食品機能成分を有効に利用するためには、苦味の抑制(マスキング)が重要な課題である。苦味は、舌上に存在するヒト苦味受容体(hTAS2Rs)に苦味物質が結合することで生じる。すなわち、あらかじめ苦味成分に他の物質を結合させておけば、苦味成分は受容体と結合できず、苦味はマスキングされる。そのため苦味成分と結合する物質は苦味マスキング剤として利用できる可能性がある。そこで本研究では、ペプチドアレイを用いた苦味成分結合ペプチドの探索とそのマスキング効果の解析を目的としている。今年度の研究では、前年度に見出されたポリフェノール結合性ペプチドについて、カルシウムイメージング法によるヒト苦味受容体の応答評価系を用いて分子レベルでの苦味マスキング効果を検証した。本評価系では、食品機能成分の苦味を客観的に評価できるとともに、苦味マスキング効果の定量解析も可能である。結果として、我々が見出したほとんどのポリフェノール結合ペプチドにおいて、成功裏に苦味マスキング効果が検出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究では、ポルフェノール結合性のペプチド成分について、苦味受容体の応答評価系を用いて苦味マスキング効果を検証した。結果として当初の計画の通り複数のペプチドに苦味応答抑制効果が検出されたことから、研究進捗は概ね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までに見出したポリフェノール結合性ペプチドの苦味マスキング効果について、ヒト試験によりその効果を検証していく。またその他の機能性成分結合性ペプチドについても引き続き探索を継続し、本方法論の汎用性を検討する。
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