2020 Fiscal Year Research-status Report
脂質代謝能力の違いは中高年の生活習慣病の発症リスクと関連するか?
Project/Area Number |
18K19759
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
坂本 静男 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 教授 (00266032)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2022-03-31
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Keywords | 脂質代謝能力 / ゲノムワイド関連解析 / 遺伝子多型 |
Outline of Annual Research Achievements |
脂質をエネルギー基質として利用する能力である脂質代謝能力には性差、身体活動量、心肺体力などにより個人差があり(Venables et al., 2005)、生活習慣病のリスクと関連する(Rosenkilde et al., 2010)。脂質代謝能力の個人差には遺伝子も影響するが、脂質代謝能力と関連する遺伝子は未だ不明である。そこで中高年男女コホートを用いて、脂質代謝能力と関連する遺伝子多型との関連を検討した。 早稲田大学の卒業生およびその配偶者を対象とした観察型コホート研究“WASEDA’S Health Study”のベースライン測定に参加した中高年男女1379名の内、遺伝子のデータおよび脂質代謝能力のデータが揃っている1211名を解析対象とした。網羅的に解析した251199個の一塩基多型(single nucleotide polymorphisms; SNP)と脂質代謝能力との関連を年齢、性別、体脂肪率を共変量とした線形回帰分析で検討した。脂質代謝能力の指標は運動負荷試験により測定した脂質酸化量が最大となる運動強度(Fatmax)および脂質酸化量の最大値(maximal fat oxidation:MFO)を用いた。MFOは除脂肪体重で補正した。 MFO、Fatmaxともにゲノムワイド有意水準(2.0×10-7)を満たす遺伝子多型は認められなかった。そこで有意水準をP < 1.0×10-4として関連候補遺伝子の絞り込みを行った。MFOでは38個、Fatmaxでは48個のSNPが該当し、最も強く関連を示した遺伝子多型は共通であった。今後はこれらの結果を基にReplication studyなどの追加解析を行い、脂質代謝能力関連遺伝子の特定を進めたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の目的は中高年男女コホートを用いて、横断研究で脂質代謝能力と関連が強い疾患や危険因子を推定し、縦断研究で脂質代謝能力の変化が生活習慣病の有病率および危険因子へ与える影響を明らかにすることである。 本研究は40歳以上の早稲田大学の卒業生およびその配偶者を対象としたコホート研究“WASEDA’S Health Study”と連携して実施している。2020年度は2019年度までの5年間で完成したコホートのベースラインデータを用いて改めて脂質代謝能力と関連する遺伝子多型の探索的解析を行った。本来であれば2020年度は5年後の追跡測定の1年目であり、5年後測定のデータも活用して縦断的な検討を行う予定であったが、COVID-19の流行によりWASEDA’S Health Study の測定が中断しており、実施できなかった。そのため、本研究課題はやや遅れているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度も同様に早稲田大学の卒業生を対象としたコホート研究 (WASEDA’s Health Study)と連携してデータの測定および試料の採取を行う。Covid-19の影響により測定は現在中断しているが、ワクチンの接種も始まっており夏以降に再開予定である。2021年度は1年目に測定した341名の追跡測定と新規参加者の測定を200名程度見込んでいる。測定と並行して、これまでに測定したデータを用いて解析を行う。 5年目までの測定で完成した1379名のデータを用いて、脂質代謝能力の関連要因の解明および生活習慣病の有病率および危険因子との関連を検討する。この結果は9月に京都にて開催される「第40回日本臨床運動療法学会」にて学会発表を行う。その後、学会発表で得られた助言を参考に、脂質代謝能力と生活習慣病の有病率および危険因子との関連を再度検討し、研究成果を論文としてまとめ上げる。
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Causes of Carryover |
本研究課題は早稲田大学の卒業生を対象としたコホート研究 (WASEDA’s Health Study)と連携して実施している。2020年度はCOVID-19の影響によりコホート研究の測定が実施出来なかったため次年度使用額が生じた。生じた次年度使用額は2021年度の測定に掛かる費用および研究成果発表費用として使用予定である。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Determinants of Resting Oxidative Stress in Middle-Aged and Elderly Men and Women: WASEDA’S Health Study2021
Author(s)
2.Takuji Kawamura, Kumpei Tanisawa, Ryoko Kawakami, Chiyoko Usui, Tomoko Ito, Hiroki Tabata, Nobuhiro Nakamura, Sayaka Kurosawa, Wonjun Choi, Sihui Ma, Zsolt Radak, Susumu S. Sawada, Katsuhiko Suzuki, Kaori Ishii, Shizuo Sakamoto, Koichiro Oka, Mitsuru Higuchi, and Isao Muraoka.
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Journal Title
Oxidative Medicine and Cellular Longevity
Volume: in press
Pages: in press
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Presentation] Cardiorespiratory fitness and calf circumference with the prevalence of diabetes: WASEDA’S Health Study2020
Author(s)
Dong Wang, Susumu S. Sawada, Kotaro Sato, Sakura Koriyama, Hiroki Tabata, Kumpei Tanisawa, Ryoko Kawakami, Katsuhiko Suzuki, Mitsuru Higuchi, Kaori Ishii, Koichiro Oka, Shizuo Sakamoto
Organizer
International Society for Physical Activity and Health
Int'l Joint Research
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[Presentation] Walking speed and prevalence of lifestyle-related diseases in adults: WASEDA'S Health Study2020
Author(s)
Kotaro Sato, Susumu S. Sawada, Dong Wang, Sakura Koriyama, Hiroki Tabata, Kumpei Tanisawa, Ryoko Kawakami, Tomoko Ito, Chiyoko Usui, Kaori Ishii, Katsuhiko Suzuki, Mitsuru Higuchi, Koichiro Oka, Shizuo Sakamoto
Organizer
25th Annual Congress of the European College of Sport Science
Int'l Joint Research
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[Presentation] Cardiorespiratory fitness and calf circumference with the prevalence of diabetes: WASEDA’S Health Study2020
Author(s)
Dong Wang, Susumu S. Sawada, Kotaro Sato, Sakura Koriyama, Hiroki Tabata, Kumpei Tanisawa, Ryoko Kawakami, Katsuhiko Suzuki, Mitsuru Higuchi, Kaori Ishii, Koichiro Oka, Shizuo Sakamoto
Organizer
25th Annual Congress of the European College of Sport Science
Int'l Joint Research
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