2018 Fiscal Year Research-status Report
バーチャルリアリティとロボティクスを応用した心拍駆動型身体認知変容システムの開発
Project/Area Number |
18K19760
|
Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
大鶴 直史 新潟医療福祉大学, リハビリテーション学部, 准教授 (50586542)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 正之 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (00596497)
金山 範明 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 研究員 (90719543)
|
Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
|
Keywords | 身体認知 / バーチャルリアリティ / 内受容感覚 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、慢性疼痛患者に対する新規リハビリテーションとして、バーチャルリアリティ下において身体認知を変容する方法の開発を目的としている。この方法の開発により、慢性疼痛患者における自己身体認知異常(例えば自身の手の大きさを実際の身体よりもかなり大きく認知しているなど)を是正することを目指している。 本年度は、当初の計画通り、目的となる課題を検証するための自己身体錯覚装置の製作を行った。具体的には、身体内部からの感覚情報である内受容感覚、身体外部からの情報である外受容感覚を操作することにより、バーチャル空間内における自己とは異なる身体を、自己身体であると錯覚させる装置である。バーチャル空間を作り出すヘッドマウントディスプレイおよび画像作製ソフト、自己の身体の動きに合わせてバーチャル空間上での身体を動かすためのリープモーション、内受容感覚をバーチャルリアリティ上にフィードバックするための脈圧センサーを組み合わせて装置を作成した。この装置により、身体の大きさや形状を変化させること、身体の動き・外受容感覚・内受容感覚からのフィードバックを自在に調整することが可能となる。今後は、来年度の研究実施計画に沿って、この装置を用いて、自己身体認知を変容させるために重要な因子は何であるのか、また身体認知をバーチャルリアリティ環境下で変容させることができるのか、身体認知を変容させることで運動・感覚などの機能がどのように変化するのかを検証する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画通りに、本実験で使用するバーチャルリアリティ、外受容感覚、内受容感覚を融合した装置の作成を行うことができた。簡単な予備実験結果では、意図した通りの身体認知変容を誘導することが可能であった。装置の作成は、当初想定していた通りあるいはそれ以上の精度で、パラーメータ変更が可能であり、今後の実験において詳細な検討が可能となった。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、本年度に作成した装置を使い自己身体認知の変容が可能であるかに関して、心理物理学実験を通して検証を開始する。具体的には、外受容感覚(触覚)、内受容感覚(心拍)からのフィードバックを制御し、身体のサイズ認知を変容できるかの検証から開始する。おそらく本装置を使用すると、少なくとも短時間は身体認知を変容することが可能であることが想定される。実際の身体サイズよりも拡大した身体および縮小した身体に、バーチャル空間上で自己身体所有感を移した際に、触覚・痛覚などの感覚知覚が変容するかをまず検証する。その過程において、自己身体認知変容を引き起こすためには、どのような要因が重要であるかも併せて検討する。
|
Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由としては、本年度装置作成を最優先したため予定していた海外学会参加を控えたためである。また、装置の構成を必要最小限にとどめたことも理由の一つである。これに関しては、来年度以降順次アップグレードする予定である。
|
Research Products
(7 results)