2019 Fiscal Year Research-status Report
周産期の栄養および代謝変容が母体、胎児に及ぼす影響
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18K19761
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
齋藤 邦明 藤田医科大学, 保健学研究科, 教授 (80262765)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 康子 藤田医科大学, 保健学研究科, 准教授 (00331869)
藤垣 英嗣 藤田医科大学, 保健学研究科, 講師 (00612631)
毛利 彰宏 藤田医科大学, 保健学研究科, 准教授 (20597851)
星 雅人 藤田医科大学, 保健学研究科, 講師 (40633996)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | トリプトファン代謝 / 周産期うつ |
Outline of Annual Research Achievements |
飽食の時代といわれて久しい日本であるが、近年、周産期妊婦の平均体重は年々減少しており、それに伴い胎児の出生体重も低下している。偏食や過度のダイエットによる低栄養状態で妊娠に至るケースが少なくなく、現在の母体の栄養状態は、戦後の栄養状態より悪化している。母体の栄養状態は、妊娠の維持のみならず産前産後で起こりうる各種疾患 (栄養障害、妊娠高血圧症候群、精神疾患など) との関連や、胎児における出生時体重や発達障害にも影響を与える事が明らかとなっている。 そこで本研究では、経時的な周産期バイオリソースを用いて、母体の食習慣および栄養状態、また代謝機能の変容が (1)母体の妊娠中の各種疾患(栄養障害、妊娠高血圧症候群、精神疾患など)に及ぼす影響、(2)胎児への影響 (出生時体重、発達障害)について明らかにする事を目的とする。 これまでに、周産期うつ病に着目し周産期妊婦の経時的代謝機能を追跡可能とするデータベース作成を行い、経時的なトリプトファン代謝産物の変化と抑うつ病態との関連について検討を行った。産後抑うつ群では、健常群に比較してトリプトファン代謝産物であるキヌレニンやキヌレン酸の優位な上昇が認められた。また本年度は、質量分析計を用いた血清アミノ酸一斉解析を行った。産後の抑うつスコアとグルタミン酸値に弱い相関が認められた。また健常群にくらべ持続性うつ群においては、グルタミン酸の増加が見られた。また産後の血清中のアミノ酸量と抑うつスコアには、相関は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
周産期における抑うつ発症を予測するマーカーの候補分子が検出出来ており、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度の検討課題として、新規検証サンプル(62例)を用いたトリプトファン代謝産物の一斉解析およびアミノ酸解析を行い、抑うつ病態の検出マーカーとしての有用性を評価する。また産後うつと関連が報告されている各種ホルモン(オキシトシンなど)およびサイトカインなどの関連分子の測定を行う。得られたデータからプロファイリング解析を行う事で、周産期妊婦の栄養管理を中心とした新規個別化医療の確立に向けた基盤技術の創設を目指す。
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Causes of Carryover |
アミノ酸一斉解析のための予算であったが、質量分析計の修理のため一部測定が不能となり本年度に持ち越した。分析計の修理は完了したため、本年度、アミノ酸測定を行う予定である。
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Research Products
(22 results)