2019 Fiscal Year Research-status Report
運動を具現化する新規異種細胞間輸液制御モジュールを活用した細胞機能連関研究の挑戦
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18K19762
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
橋本 健志 立命館大学, スポーツ健康科学部, 教授 (70511608)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小西 聡 立命館大学, 理工学部, 教授 (50288627)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | 細胞培養 / 骨格筋 / 脂肪 / サルコペニア / 肥満 / バイオチップ / 自動回収 |
Outline of Annual Research Achievements |
組織間の機能相関が高まれば、健康増進に繋がると考えられ、そのための方略として運動・栄養処方や薬理的な処置が想起される。一般的に、こうした処方・処置は細胞培養を対象に研究を進め、その知見を実験動物、そしてヒトへと、生体という複雑系に臨床応用展開する手法がとられることが多い。しかしながら、特に運動・栄養処方の臨床応用研究に展開するための、組織間の機能連関亢進を意図した細胞培養研究は殆ど存在しない。本研究では、異なるディッシュ間の培地輸液制御に重点を置いた「培地間インターコネクション・チャネルモジュール」を活用して、組織間機能連関研究に挑む。 本年度は、C2C12骨格筋細胞に電気刺激を加えた前後で、細胞の栄養状態を変えることによって、筋形態特性にどのような影響がみられるのか、またどのようなメカニズムによって細胞に影響をおよぼしているのかを明らかにすることを目的とし、検証した。本研究では、電気刺激によって筋タンパク質合成に関わるシグナル伝達系(mTORおよびp70s6Kのリン酸化)が活性化され、筋タンパク合成が促進することが認められた。また、電気刺激を加える前に細胞に栄養を与えることで、p70s6Kのリン酸化が一層活性化され、より筋タンパク質合成が促進されることが明らかとなった。 一方、バルブやポンプを導入したチャネルモジュールを構築し、培地の行き来や自動回収作業を制御できることを確認した。また、培地試料の保存環境の最適化の検討を実施した。その結果、標的とする代謝物の解析が実施できることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
栄養状態の違いによって電気刺激に対する筋合成関連タンパク質発現量の違いを認めたが、さらなる追試が必要である。特に、安定した筋収縮が実施できるよう工夫が必要である。 脂肪細胞に関しては、細胞内脂肪蓄積量を画像診断しつつ、適宜、脂肪合成・分解刺激をホルモン添加によって加える実験に着手し、一定の成果を挙げたが、論文としてまとめることが未だ出来ていない。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、筋細胞へ電気刺激を適用し、代謝物やマイオカインの産生を促す。脂肪細胞には、アドレナリン刺激を添加する。その際、配管流路を介して筋と脂肪の異種細胞間での培地輸液制御を試行する。当該モジュールにおいて、筋収縮に相応して脂肪細胞にカテコラミン刺激を加え(刺激の同期)、各細胞からの代謝物が他方の培養系へ流入するシステム構築に挑戦する。即ち、筋-脂肪細胞培養システムにおいて、運動状態を世界に先駆けて具現化する。細胞コンディションに相応した機能連関要素の抽出と作用機序の同定を図る(共培養現象の解析と意義の発見、確認)。
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Causes of Carryover |
培地間インターコネクション・チャネルモジュールの作製において、研究分担者の別の研究予算を執行することができたため。 また、細胞培養や生化学的解析についても、研究代表者の別の研究予算を一部執行することができたため。 今後は、回収した培地の生化学的解析ならびにインターコネクション・チャネルモジュールの完成に重点を置き、残予算を使用して行く予定である。
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