2018 Fiscal Year Research-status Report
リン酸化TRAP法を用いた視床下部によるビタミンB群の新規恒常性制御機構の解明
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18K19765
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
中島 健一朗 生理学研究所, 生体機能調節研究領域, 准教授 (70554492)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 微量必須栄養素 / 視床下部 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳の基底に存在する視床下部は炭水化物や脂質などの主要栄養素成分を脳内で最初に感知し、摂食行動や全身のエネルギー代謝を調節する。一方、微量必須栄養素のうち体外に排出されやすいBやCなど水溶性ビタミンを生体がどのように感知しているのかは不明である。 そこで、研究代表者らはビタミンB群が解糖系を構成する複数の酵素の補酵素としてエネルギー産生に重要な役割を果たすこと・脳内での消費が多いことに注目し、ビタミンB群の恒常性維持を司る神経メカニズムが存在するという仮説を立てた。 主要栄養素の感知を担う神経は栄養素依存的に活性化することに注目し、活性化した神経細胞の分子特性を調べるために、リン酸化TRAP法を用いることにした。この手法では、活性化した神経細胞においてリボソームの一部のサブユニットがリン酸化されることを利用し、抗リン酸化抗体を用いて免疫沈降を行い、その神経でつくられるmRNAとリボソームの複合体を精製する。その後、RNA seq解析を実施し、活性化した神経の遺伝子プロファイルを明らかにする。今年度は、この手法の予備実験として主要栄養素(ショ糖)を投与したマウスの90分後の脳切片を作製し、神経活動マーカーとして良く知られるc-fosの発現とリボソームのリン酸化を抗体染色により評価した。その結果、扁桃体の神経細胞において神経活動マーカーc-foの発現とリボソームのリン酸化の両方が見られるのに対し、視床下部の一部の神経ではc-fosとリボソームのリン酸化は必ずしも重ならず、一方のみが観察されることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
栄養素刺激によってリボソームのリン酸化が再現よく確認することが出来たため。
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Strategy for Future Research Activity |
ビタミンB1を欠乏したマウス、またはビタミンB1を摂取したマウスでリン酸化リボソームの分布を抗体染色により確認後、免疫沈降を行う部位を特定し、リン酸化TRAPの実験を実施する。
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Causes of Carryover |
2018年度は予備実験として条件検討を実施したため、予算の使用が限定的になった。2019年度はリン酸化TRAP法を実施後のRNA seq解析やマウスの飼育・維持費の割合が増えるため、こちらで重点的に予算を使用する計画である。
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