2019 Fiscal Year Research-status Report
生体深部組織へ適用可能なリン酸化合物定量システムの開発:大腰筋の質的特性の解明
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18K19768
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Research Institution | National Agency for the Advancement of Sports and Health |
Principal Investigator |
高橋 英幸 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツ研究部, 主任研究員 (00292540)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉本 隆哉 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツ科学部, 契約研究員 (20756465)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | 磁気共鳴分光法 / リン酸化合物 / 大腰筋 / 筋線維組成 / 競技種目特異性 |
Outline of Annual Research Achievements |
筋収縮能力は、骨格筋の大きさ、量的特性だけではなく、質的・生化学的特性によっても大きく影響される。これまで、大腰筋横断面積が大きい者ほど短距離走や自転車運動のパフォーマンスが高いことが知られているが、測定方法論上の制限から、体幹深部に位置する大腰筋の質的特性は明らかにされていない。そこで本研究では、新たなリン磁気共鳴分光法(31P MRS)システムを確立して、大腰筋のリン酸化合物の定量に取り組んでいる。平成31年度は、平成30年度に新たに作製した検出コイル性能の向上、最適な測定条件の検討、測定値の妥当性の検証、そして、実際のヒトへの応用を行った。 年度当初に実験を進める中で、31P MRS用の検出コイルが正常に稼働しない現象が発生し、その原因究明、修理、稼働確認のために約半年を要した。その後、修正後の検出コイルを用いて、最適な測定条件の検討を行った。当初は、対象組織のみに限定した単一関心領域用のプログラムを用いた測定を試みたが、限定された時間で、リン酸化合物定量に必要となる十分な精度、信号強度を得ることが困難であることが明らかとなった。その後、別の方法として、複数の関心領域を測定対象とするプログラムを応用し、様々な条件を検討した結果、約13分の測定時間で、解析に十分な信号を得ることができた。 確立させた測定系を利用して、大腰筋の競技種目特性を明らかにするために、実際の競技者および非鍛錬者を対象とした測定を開始した。しかしながら、新型コロナウイルスの影響で、途中で実験・測定を中止しなければならない状況となり、計画した数の被検者を対象とした測定を実施することができなかった。そのため、研究期間を1年間延長して、実施できなかった分の測定を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
リン磁気共鳴分光法用に新たに作製した検出コイルが正常に稼働しない現象が発生し、その原因究明、修理、稼働確認のために約半年を要した。さらに、年度末には、新型コロナウイルスの影響で、実験・測定を行えない期間が発生し、計画した数のデータを収集することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
リン磁気共鳴分光法用の検出コイルの修正も完了し、大腰筋のリン酸化合物濃度の評価が可能となった。しかしながら、新型コロナウイルスの影響で実験・測定を行えない期間が継続しているため、当該期間が終了次第、持ち越しとなってしまった競技者および非鍛錬者を対象とした大腰筋におけるリン酸化合物の評価を実施し、最終的なまとめを行う予定である。
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Causes of Carryover |
新たに作製したリン磁気共鳴分光法用の検出コイル不良を修理するための期間、および、新型コロナウイルスにより実験のできない期間が発生してしまったため、計画にあったヒトを対象とする測定の一部を次年度に延期せざるを得なかった。繰り越した予算は、延期した分の測定に必要となる被検者謝金、交通費、消耗品費、研究成果発表に係る経費等として使用する予定である。
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